「海外不動産投資の話を持ちかけられているが、詐欺ではないか不安」
「もう契約してしまった。工事が止まっていて連絡も返ってこない」
私のところには、この二種類の相談が今も届き続けています。
私は数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきました。その立場から、海外不動産投資の詐欺で必ず出てくる6つの手口を「起きる順番」で並べ直し、契約前に確認する10項目と、すでにお金を入れてしまった方が今日できることをまとめます。
結論:東南アジアの不動産投資話は、まず詐欺を疑って構わない
当ブログで何度も注意喚起していますが、海外不動産投資や不動産開発案件では、今もトラブルと詐欺被害が数多く発生しています。特に多いのが、東南アジア諸国で日本人が日本人を騙すタイプのものです。タイ、ミャンマー、フィリピン、カンボジア、バングラデシュが多いですね。
これらの国で「将来的に儲かる不動産投資案件がある」と聞いたら、まず詐欺を疑って構いません。詐欺とまではいかなくても、必ずトラブルを引き起こします。もう一度言います。必ずトラブルが発生します。
海外不動産投資で多いトラブルは、次の6つです。
- 現地業者の横領
- 建設工事の大幅な遅れ
- 見込み家賃の大幅減少や支払いの遅れ
- 完成前に業者トンズラ
- 数々の手抜き工事
- 契約書の不備
これらを見て分かるように、海外不動産投資案件は投資家が損をして、運営側だけ儲かる仕組みになっています。マネーリテラシーが低い人が、詐欺師の喰い物にされるだけのゴミクズ案件です。
6つの手口は「この順番」で起きる
相談を受けていて分かったのは、6つの手口はバラバラに起きるのではなく、決まった順番で連鎖するということです。
第1段階:契約書の不備
最初の手口は、契約の時点ですでに終わっています。タイのバンコク郊外に建つ日本人向けコンドミニアムの件では、購入者の多くが現地の法律や契約書の中身を理解していませんでした。契約書すら読めない、読まない人が多いので、海外不動産投資を何の疑いも持たずに始める人は詐欺師にとって絶好のカモです。事業運営者が替わろうとした場面で、購入者は何をしていいのか分からず、ただ不安な日々を過ごすことになりました(タイのコンドミニアム被害者からの相談)
見抜き方:契約書を全文自分で読めないなら、その時点で降りる。これだけです。
第2段階:建設工事の大幅な遅れ
お金を払った後、最初に現れる異変が工期の遅れです。バングラデシュの土地投資セミナーに参加したある方は、こう考えて踏みとどまりました。インフラ計画は立っていてこれから鉄道ができるという説明だったが、日本を見てもこういう計画があっても工期延長はよくある。政局が収まったといえ年数が浅く、まだ不安定な国には違いない。償還約5年で順調に行くとは思えない、と(バングラデシュ不動産を勧誘する悪徳FPの手口)
見抜き方:交通インフラや周辺環境が整備されるという説明は、結構嘘が多いです。将来の開発計画を根拠にした利回りは、根拠ではありません。
第3段階:現地業者の横領
工期が延びている間に、集めたお金が別の場所へ流れます。日本の外で起きた資金の流れを、日本にいる投資家が追いかけることはできません。
見抜き方:集めたお金を誰が保管し、誰が動かせるのか。これを契約前に紙で確認できない案件は、全て同じ結末になります。
第4段階:数々の手抜き工事
予算が抜かれた後に建つ建物が、まともなわけがありません。
見抜き方:完成後の建物を自分で見に行けないなら買わない。写真だけで数百万から数千万を出すのは投資ではありません。
第5段階:見込み家賃の大幅減少や支払いの遅れ
ここが一番きつい段階です。買った時の前提が全部崩れます。先ほどのタイのコンドミニアムでは、事業主が販売前のセミナーで「本当は私が全部買取りたいくらいだ」「完成後は周辺の日本人が大挙して入居し、高い家賃収入が得られると共に、値上がりも期待できる」と豪語していたそうです。蓋を開ければ、入居率は1%台で賃料収入ほぼゼロ。毎月多額の赤字を垂れ流し、売りたくても欲しい人が皆無で資産価値もほぼゼロでした。
私の友人が買ったフィリピン不動産も同じです。完成したら運用利回りは12%以上と勧誘されたのに、建物完成後に賃貸が全く付かず、運用利回りは年利で1%前後。実質無価値の物件になりました(海外案件に投資しまくった友人の末路)
見抜き方:見込み家賃も想定利回りも、書いているのは売る側です。誰が保証し、その会社が消えたらどうなるのかを聞いてください。
第6段階:完成前に業者トンズラ、そして償還不履行
最後は運営元が消えます。東南アジアを中心に展開していた私募投資案件や私募不動産ファンド案件が、次々と破綻、もしくは配当遅延、満期償還不履行、延期という事態になっているという情報が多方面から入ってきました。私が過去に投資を検討していたカンボジアやフィリピンのランドバンキング案件も(結局は見送りました)、満期を迎えて投資金が返ってくるはずなのに、運営管理者と連絡が取りづらい状況になっていました。タイのコンドミニアムに至っては、販売会社が買取保証を謳っていたにも関わらず、寸前で会社を潰して一部の仲間と利益を分け合い、投資家だけに損をさせて終わりにしようと企んでいるようです(東南アジアの私募案件が次々と破綻している件)
見抜き方:買取保証や元本償還の約束は、約束した会社が存在し続けて初めて意味を持ちます。会社を潰されたら終わりだという前提で読んでください。
海外在住の日本人詐欺師にご用心
調子に乗って手広く日本人を騙してきた日本人詐欺師がいますが、彼らのほとんどは日本を離れて海外に住所を置いています。その方が日本人を騙しやすいし、詐欺行為を働いても逮捕されにくいですからね。
ひと昔前の吉本芸人みたいな名前をした日本人詐欺師や、トランプカードのような偽名を使う日本人詐欺師は特に有名で、当ブログにも実名で情報をたくさん頂いています。自分たちが紹介した投資詐欺案件の権利を二束三文で被害者から買い取り、暴利を得ているという情報もありますよ。彼ら以外にも、バングラデシュ不動産開発を積極的に紹介している詐欺師が最近は多いですね。フィリピンの離島で日本人が進めているホテル開発事業も、随分とキナ臭い話があります。
日本の大手企業(上場企業)以外が進めている海外不動産投資案件は無視した方が良いと思いますよ。詐欺師の中には、日本や現地大手企業の名前を出し、あたかも業務提携をしているような嘘を平気で話す輩もいますのでご注意ください。
もう一つ覚えておいてほしい型が抱き合わせです。バングラデシュの不動産投資を勧誘しながら、同時に海外の長期積立商品を毎月500ドル×25年で誰にでも勧めていたFPがいました。誰にでも25年支払を勧めるのは悪徳紹介者の特徴です。自分が手にする報酬だけを考えているから、そういう売り方になります。
実話:10案件に投資して0勝10敗
私の友人で、海外の私募投資案件や不動産案件に積極的に投資していた人がいます。何度も「騙されているから止めた方がいい」と忠告したのですが、「ヤリ手」の詐欺師と紹介者の術中にハマってしまいました。
- 3年後に3倍にして償還しますと勧誘されて投資した東南アジア不動産開発案件
- 5年後に海外で株式上場すると勧誘されて投資した海外事業案件(未公開株)
- 完成したら運用利回りは12%以上と勧誘されて投資したフィリピン不動産
合計10の海外案件に投資した結果、見事に9つ破綻。残り1つは破綻予備軍で、つまり0勝10敗です。素人が適当に選んだ株10銘柄でも2つや3つは利益が出そうなものですが、自称投資のプロが語った海外投資話は、ほぼ10割の確率で破綻か約束破りという結果になります。
なぜ海外案件は、騙されても取り返せないのか
手口以上に理解しておいてほしいのが、被害に遭った後で何もできないという構造です。東南アジアでは日本人が日本人を騙すケースが多く、騙されたと裁判をやってもまず勝てませんし、日本の外で起こった事など弁護士も警察もまともに相手にしてくれません。不安な気持ちを抱えたまま待つしかないのです。
日本国内ならともかく、日本国外の私募投資案件は自分の力で何も解決ができない。ここが国内不動産との決定的な違いです。日本国内であれば契約書も読めますし、購入者保護制度もあります。
金額の線引きだけは先に決めてください
金融資産が数億円あり、資産分散として海外不動産投資を始めるというなら分かります。ですが、数百万程度かそれ以下しか持っていないのであれば、海外不動産投資はやるべきではありません。そもそも金融資産数億円の方と数百万の方では、入ってくる情報の質が全く違いますからね。
契約前に必ず確認する10項目
ここまでの手口を、契約前のチェックリストに変換しました。1つでも答えが出ない項目があるなら、その案件は見送ってください。
- 1. 事業主は日本の上場企業か。それ以外なら原則として無視して構いません。
- 2. 提携先とされる企業に自分で直接確認したか。相手に聞くのではなく、その企業に問い合わせてください。
- 3. 契約書を全文、自分で読んで理解できたか。現地の法律と契約書を理解しないまま署名した人が、実際に苦しんでいます。
- 4. 買取保証や償還の約束は誰の債務か。その会社を潰されたら終わり、という前提で読めていますか。
- 5. 想定利回りや見込み家賃の根拠資料はあるか。3年で3倍、利回り12%以上という数字が口頭とパンフレットにしか無いなら、根拠はゼロです。
- 6. 過去の同種案件の進捗と実績を開示できるか。あるセミナー参加者が過去の土地投資案件の進捗を聞いたところ、その案件関係者しか知らないから会社内でも分からないと言われたそうです。即撤退の合図です。
- 7. 将来のインフラ計画を前提にしていないか。日本でさえ工期は延びます。
- 8. その国に住んでもいいと思っているか。現地の言葉を理解しているか。現地に信頼できる友人や法律家はいるか。3つとも該当しないなら、トラブル時に動ける人はゼロです。
- 9. 紹介者の報酬構造を聞いたか。抱き合わせは無いか。不動産と海外長期積立をセットで勧める、誰にでも25年払いを勧める。この売り方をする人は、あなたではなく自分の報酬を見ています。
- 10. 全額失っても生活が壊れない金額か。ほかの9項目に自信がなくても、この10番だけで踏みとどまれます。
今日やること
まだ契約していない人
その場で結論を出さず、一度持ち帰ってください。実際に踏みとどまった方も、一度持ち帰って冷静に調べる必要性を再確認したと書いてくださいました。持ち帰ったら上の10項目を紙に書き出し、埋まらない項目を数えます。3つ以上埋まらなければ、それは投資ではなく賭けです。
すでにお金を入れてしまった人
東南アジアで私募投資案件にお金を入れている人は、なるべく早くに解約して元本を回収する事を強くお勧めします。時間が経つほど回収の可能性は下がります。一般的なことですが、勧誘時の資料、メール、契約書、送金の記録は今のうちに一箇所へまとめておいてください。相手が消えた後では集まりません。追加のお金は絶対に入れないこと。権利を安く買い取ると言ってくる相手にも、すぐには応じないでください。
回収できないと分かった人
厳しいことを言いますが、現地の法律や契約書内容を十分理解せずに、言われる事だけを信じて投資してしまった投資家の自己責任でもあります。痛い勉強代だったと思って諦め、マインドセットを切り替えて次に進みましょう。そして二度と、海外不動産投資や海外私募投資案件の話に耳を貸さないことです。
注意点
全ての海外不動産が詐欺だと申し上げているのではありません。ただ、日本人向けに個別に勧誘されてくる東南アジアの案件で、当初の約束が守られ投資家に予定通りの利益をもたらした例を探す方が難しい、というのが私の実感です。利回りや将来価格の記載は将来の成果を保証するものではなく、投資の判断はご自身の責任でお願いします。海外資産の税務は必ず税理士または税務署に確認してください。
私自身、海外不動産投資に興味はあります。過去にフィリピンやインドネシアでコンドミニアム投資をやっていましたので。でも今はやろうと思いません。私が現在実践している日本国内の不動産投資よりも良いと思える案件が無いからです。
まとめ
海外不動産投資の詐欺は、契約書の不備で始まり、工事の遅延、横領、手抜き工事、家賃の崩壊、そして運営元の消滅で終わります。防げるのは最初の1段階だけで、2段階目以降に入ると日本にいる投資家にできることはほとんどありません。
だからこそ契約前の10項目が全てです。高い賃料収入も転売が見込める物件も日本にあるのですから、不動産投資は海外ではなく日本で行いましょう。誰かに勧誘されたよく分からない案件には投資しない。これが鉄則です。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。
2015年から続くコミュニティ「コアメンバー」の無料相談です。いまの状況を伺い、取り組みの候補をお返事します。
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