「ドバイの事業投資に誘われています。これは大丈夫でしょうか」
最近、私のもとにこの手の相談が度々届くようになりました。
セミナーで、知人の紹介で、SNSのDMで。
入口はさまざまですが、中身はほぼ同じです。
結論から言います。
セミナーや紹介で「ドバイの案件」「ドバイの事業投資」と聞いたら、それは詐欺だと思って耳を傾けないでください。
絶対に投資しないでください。
なぜそこまで言い切れるのか、この記事で理由をすべてお話しします。
なぜ詐欺師は「ドバイ」を使うのか
まず知っておいてほしいのは、詐欺師にとって「ドバイ」という言葉が最高の営業ツールになっているという事実です。
高層ビル、オイルマネー、税金ゼロ、億万長者。
「ドバイ」と聞いただけで、なんとなく儲かりそうな気がしてしまう。
この「なんとなく」に、詐欺師はつけ込みます。
日本から遠く、現地を確認しに行く人がほぼいないことも、彼らにとって好都合です。
実態のない事業でも、豪華なオフィスの写真と現地視察ツアーの動画があれば、それらしく見せられてしまうのです。

ドバイは「日本で詐欺をした人間が逃げる場所」です
これは投資の世界にいる人間なら誰でも知っていることですが、はっきり書きます。
ドバイは、日本で詐欺事件を起こした人間の逃亡先として有名な場所です。
日本と犯罪人引渡し条約を結んでいない国であることから、日本で問題を起こした人物が移り住むケースが繰り返し報じられてきました。
暗号資産系の詐欺で名前が挙がった人物たちも、多くがドバイに拠点を移しています。
私は冗談半分でこう言っています。
「ドバイで日本人を見つけたら、半分は観光客、半分は詐欺師と思え」と。
もちろん現地で真っ当にビジネスをしている日本人もいます。
ただ、投資勧誘の文脈で近づいてくる「ドバイの日本人」に限って言えば、それくらいの警戒感でちょうどいいというのが私の実感です。
実際、在ドバイ日本国総領事館が「詐欺被害防止」の注意資料をわざわざ公開しているほど、現地がらみの日本人被害は多いのです。

「事業投資」という触れ込みは、ネズミ講詐欺の常套句
次に、「事業投資」という言葉そのものについてです。
私は11年以上この世界を見てきましたが、「事業投資」という触れ込みで個人に勧誘されてくる案件は、ネズミ講型の詐欺が大半でした。
考えてみてください。
本当に有望な事業なら、資金は銀行融資やベンチャーキャピタルから調達できます。
わざわざ日本の個人に、セミナーや紹介経由で、少額ずつお金を集める必要はありません。
不特定多数から少額の出資を募る案件は、過去ほとんどが詐欺でした。
新しい出資者のお金を古い出資者への「配当」に回し、紹介報酬で会員を増やしていく。
いわゆるポンジ・スキーム(自転車操業型の詐欺)の典型構造です。
配当が出ている間は「本物だ」と信じてしまいますが、新規の出資が止まった瞬間に配当も止まり、元本は返ってきません。
いま日本中に広がっている「ADICO」について
そして今、まさに日本中で広まっているのが「ADICO(アディコ)」というドバイ発の投資案件です。
ADICOについては、私は以前から繰り返し注意喚起してきました。
検証記事でも書いた通り、ADICOには「高利回りの社債型」「紹介者経由でしか買えない」「金融当局の認可が確認できない」という、危険な案件に共通する特徴がそろっています。
さらに最近は、ネット上でも配当の遅れや償還の引き延ばしを訴える声が目立つようになってきました。
私の見立てでは、ADICOが詐欺としてニュースに出る日は、そう遠くないと思っています。
「周りのみんなもやっているから」は、安全の証明にはなりません。
ネズミ講型の案件は、広まっていること自体が崩壊へのカウントダウンなのです。

ドバイ案件を勧められたときのチェックポイント
それでも「自分が誘われているこの話は違うかもしれない」と思う方のために、確認すべきポイントを挙げておきます。
①金融庁に登録があるか
日本で出資を募るなら、原則として金融商品取引業の登録が必要です。
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に載っていない時点で、その勧誘自体が違法の可能性が高いです。
②「紹介した人」に報酬が入る仕組みか
紹介報酬がある時点で、ネズミ講型を疑ってください。
あなたを誘っているその人も、あなたの出資からコミッションを受け取ります。
③現地の一次情報を自分で確認できるか
会社の登記、監査済みの決算書、金融ライセンス。
「見せられない」「英語だから難しいでしょう」とはぐらかされたら、その時点で終了です。
④「今だけ」「枠が埋まる」と急かされていないか
まともな投資に、締め切りで判断を急がせる理由はありません。
一つでも引っかかったら、お金を出す前に立ち止まってください。

すでに投資してしまった方へ
「もう出資してしまった」という方は、まず出金申請を試み、証拠(契約書・振込記録・LINEやメールのやり取り)をすべて保存してください。
そのうえで、警察や金融庁の金融サービス利用者相談室、弁護士など、しかるべき窓口に早めに相談することをおすすめします。
残念ながら、この手の案件はお金が返ってくる可能性が高くありません。
集団訴訟の現実について書いた記事や、被害額の確定申告(雑損控除)について書いた記事も参考にしてください。
被害を最小限にする行動は「早く動くこと」に尽きます。
まとめ|「ドバイ」と聞いたら、財布のひもを締めてください
最後にもう一度だけ言います。
セミナーや紹介で「ドバイの案件」「ドバイの事業投資」と聞いたら、それは詐欺です。耳を傾けず、絶対に投資しないでください。
・「事業投資」の触れ込みで個人を勧誘する案件は、ネズミ講型詐欺が大半
・不特定多数から少額を集める案件は、過去ほとんどが詐欺
・ドバイは日本で詐欺をした人間の逃亡先として有名で、暗号資産詐欺師も多く住んでいる
・いま広まっているADICOにも、危険な案件の特徴がそろっている
あなたのお金は、あなたが守るしかありません。
「儲け話は、向こうから歩いてこない」
この原則だけは、忘れないでください。
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