1年前に勧められた投資の話が、いまどうなっているのか。
気になって、調べ直しました。
投資家JACKです。
私は2025年の秋、旧知の知人から、ドバイの投資の話として「ADICO(アディコ)」を勧められました。契約はしていません。
あれから1年がたちました。
ADICOのお金の行き先とされているドバイの投資グループ「AIX Investment Group」をめぐって、この秋、支払いの遅れについての訴えや、清算の申し立てが報じられています。
この記事では、当局と会社の発表、海外の報道、そしてADIF側とAIX側の説明を、出典つきで並べます。
分かっていないことは、分かっていないと書きます。
・AIXの債券を出しているAIX Secure SPV Ltdは9月、商品の一部に影響が出たことと、立て直しの専門家を入れたことを発表しました。
・中東の経済メディアは、ドバイの裁判所に、AIXグループの会社などを相手に、合わせて約1,000万ドルの支払いを求める訴えが2件起こされたと報じています。
・ケイマン諸島では、AIX Secure SPV Ltdについて、清算の申し立てが出されたと報じられています。
・ケイマン諸島の金融当局は、この会社がケイマン諸島で、またはケイマン諸島から証券投資業を行うための、当局の登録や認可を受けていない、と発表しました。
・日本のADICOやDubai Investorの分配が止まったかどうかは、公開されている情報では確かめられませんでした。
1年前、私が勧められた話
2025年の秋、しばらく会っていなかった知人から、ドバイの投資の話を持ちかけられました。
話の名前は「ADICO(アディコ)」でした。資料や紹介の動画を見せてもらい、LINEへの登録、説明会、契約という順番で案内されました。
私の記憶では、事業を大きく広げる計画の話と、まずは少額から始めて、月に20万〜30万円の収入を目指せる、という話がありました。
これは知人から聞いた説明についての私の記憶で、会社の公式な説明と同じかどうかは確かめていません。
私は、その場では返事をしませんでした。
引っかかったのは、次の3つです。
1つ目は、毎月お金が入るという話なのに、そのお金を何で生み出すのかが、説明から見えなかったこと。 2つ目は、知人の紹介で広がっていく売り方だったこと。 3つ目は、どの国のどの当局が、この商品を見ているのかが分からなかったこと。
このときに考えたことは、2025年11月にnoteへ書きました。
友人から話を聞いた投資案件「ADICO」を分解してみた(note)
公開されている募集の案内に書かれていた条件
ADIFグループの2026年1月の報告書では、「ADICO オーナーズクラブ」と「Dubai Investor」は、どちらも合同会社の社員権の仕組みだと説明されています。
このうち条件が公開されているのが、2024年9月の「海外投資 Dubai Investor」の案内です。いまの条件や、ADICO オーナーズクラブの条件を示すものではありません。

この案内では、1口は50万円です。
目標の利回りは年9.6%(税引き前)で、運用が始まって4か月目から、毎月15日に分配されるとあります。
4年で満期になり、解約の申し出がなければ、1年ずつ自動で更新される、とされています。
案内には「目標利回りは現時点のものであって将来の運用成果を保証するものではありません」とも書かれています。
ここで一つ、言葉の違いに気をつけてください。
私は当時、「ドバイの社債」と聞きました。ところが案内の上では、日本の投資家が手にするのは合同会社の「社員権」です。
社債は、会社にお金を貸して、利息を受け取る約束の証券です。
社員権は、合同会社に出資して、その会社の持ち主の一人になる権利です。
ADIF側の資料では、日本の投資家が合同会社に出資し、その合同会社から先の運用につなぐ仕組みだと説明されています。
ADICOとAIXは、どうつながっているのか
ADIF側の資料から、つながりを順に見ていきます。
・2024年4月、ADIF GROUPはAIXから「公認エージェント」に認定された(2024年の案内)
・ADIF GROUPとAIXに資本関係はなく、互いに独立したビジネスパートナーである(同じ案内)
・ADIFグループは、日本でAIXの金融商品を扱う「唯一の公認エージェント」である(2026年1月の報告書)
・ADICOオーナーズクラブ株式会社は、ADIF JAPANアセットマネジメントの会社概要に、グループ会社として載っている
お金の流れについて、2026年1月の報告書はこう説明しています。

報告書によると、出資金の50%以上は、ADIFグループの資金運用会社とされるパナマの会社を通じて、AIXが出すスクーク(イスラム金融のきまりに沿った債券)に充てられます。
残りは、グループの運営を担う国内の会社に送られ、広告宣伝費を含む販売費・一般管理費に使われる、とされています。
そして、投資家への分配の元手は、新たな投資家からの出資金ではなく、AIXの債券から得られる利金だけだ、と書かれています。
これは報告書の説明で、私は実際の送金の記録や、お金の使い道が説明と合っているかまでは確かめていません。
なお、2024年のDubai Investorの案内のよくある質問には「出資金は全額ADIF GROUPを経由してAIXへ送金されます」とあります。2026年の報告書は、50%以上をAIXの債券に充て、残りを国内の会社の費用に充てる、という書き方です。
書き方に違いはありますが、対象の商品や時期の違いによるものなのか、仕組みが変わったのかは、この2つの資料だけでは分かりません。
ADIF側が説明する分配の元手を前提にすると、AIXの債券から予定どおり利息を受け取れるかどうかは、日本の投資家への分配を考えるうえでも大事な点です。
だから、AIXでいま何が起きているかを見ておく必要があります。
この秋、AIXをめぐって起きていること
時間の順に並べます。会社や当局の発表と、報道で伝えられていることを、分けて書きます。

2026年3月17日(ADIF側の掲載)
ADIF側が、AIXのメッセージを掲載しました。「配当の支払いおよび償還は、契約内容および運用計画に基づき、予定通り正確に実行されています」という内容です。償還とは、契約に基づいて元本を返すことです。
2026年6月と8月(報道)
中東の経済メディアAGBIによると、ドバイ国際金融センター(DIFC)の裁判所に、AIXグループの会社などを相手にした訴えが2件起こされています。
6月の訴えは2,900万ディルハム(約790万ドル)を求めるもので、原告は2025年11月に期限を迎えた支払いが行われなかったと主張しています。
8月の訴えは約180万ドルを求めるもので、利払いが行われなかったことなどを主張しています。
AGBIは9月29日付の記事で、どちらも係争中で、裁判所の判断は出ていないと伝えています。その後の裁判所の判断は、この記事では確かめられていません。
2026年9月14日(ケイマン諸島の当局の発表)
ケイマン諸島の金融当局(CIMA)が、「AIX Secure SPV Ltd」について、ケイマン諸島で、またはケイマン諸島から証券投資業を行うための登録、免許、規制上の監督、その他の認可を、これまで受けていないと発表しました。
この会社がケイマン諸島で規制を受けているとする表示について、複数の苦情が寄せられたことを受けた発表です。CIMAは、規制を受けているという表示がある場合に、この会社との取引や関わりを考えるときは注意するよう呼びかけています。
この発表だけで、この会社のすべての事業が違法と判断されたわけではありません。
2026年9月15日(AIXの声明)
AIXが、ADIFの投資家に向けた声明を出しました(ADIF側が9月18日に掲載)。
一部で起きた遅延はドバイ地域に限られ、法令を守るための手続きを強めたことによるもので、ADIFは影響を受けていない、という内容です。
2026年9月下旬(報道)
金融専門メディアのGlobal Restructuring Reviewは9月28日、ケイマン諸島の裁判所に、AIX Secure SPV Ltdの清算の申し立てが出されたと報じました。
申し立てたのはこの会社の債券を持つ投資家で、利払いと満期の元本の支払いが行われていないと主張している、と伝えられています。
清算の申し立ては、裁判所に会社の清算を求める手続きです。申し立てただけで清算が決まるわけではありません。清算が始まった場合も、お金を貸した人がいくら回収できるかは、また別の問題です。
2026年9月26日(AIX Secure SPV Ltdの声明)
AIX Secure SPV Ltdが声明を出しました。
世界の市場の大きな変動が「AIXの商品の限られた部分」に影響したこと。国際的な法律事務所や立て直しの専門家を入れたこと。影響を受けた投資の立て直しを進めていること。そして、10月12日までに投資家へ詳しく報告すること。この4つが書かれています。
同じ声明には、AIXの商品の大半は影響を受けておらず、それらの商品では投資家への支払いを続けている、とも書かれています。
2026年9月27日(報道)
英フィナンシャル・タイムズ(FT)が、AIXについて報じました。FTの記事は有料のため、ここでは英国の金融業界メディアInternational Adviserが9月29日付の記事で紹介した内容を書きます。
それによると、AIXは投資家から、支払いの遅れや停止をめぐって法的な手続きを取られているとされています。
報道は関係者の話として、影響が数千人に及ぶ可能性があること、地元の当局がAIXの事務所を訪れたことも伝えています。また、支払いの遅れは約9か月前に始まったとされ、2026年の半ばには利益の送金が止まったと伝えられています。
これらは報道が伝えている内容で、私が直接確かめた事実ではありません。日本の契約者への分配が止まったことを示すものでもありません。
2026年10月12日
AIX Secure SPV Ltdが、この日までに投資家へ報告するとしていた期限です。
10月17日の時点で、私が確かめた公開のページには、報告は見つかりませんでした。投資家に個別に届いているかどうかは、確かめられていません。
2026年10月30日(予定)
清算の申し立ての審理が予定されている、と投資家の団体のサイトが案内しています。日付は変わることがあります。
海外の口コミに出ていること
10月17日に確かめた口コミサイトTrustpilotのAIXのページには、47件の口コミがあり、表示されているTrustScoreは5点満点の1.7でした。
支払いの遅れや未払いを訴える投稿があります。
一方で、元本を返してもらったという投稿もあります。
どの投稿も、投稿した人の契約の中身や、実際の支払いの状況は、私には確かめられません。
また、お金の回収をうたう業者を紹介する投稿も混ざっています。そうした業者が実在するのか、何をしてくれるのかは、確かめられていません。
投稿にある連絡先に、軽い気持ちで個人情報を渡したり、費用を払ったりしないでください。
発表と報道で伝えられていること、確かめられなかったこと

発表と報道で伝えられているのは、次の4つです。
・AIX Secure SPV Ltdが、商品の一部に影響が出たこと、立て直しを進めていることを発表した
・報道によると、ドバイの裁判所に2件の訴えが起こされ、9月29日の報道の時点で係争中だった
・報道によると、ケイマン諸島でAIX Secure SPV Ltdの清算の申し立てが出されており、裁判所の判断はまだ出ていない
・ケイマン諸島の当局が、AIX Secure SPV Ltdはケイマン諸島で、またはケイマン諸島から証券投資業を行うための、当局の登録や認可を受けていない、と発表した
確かめられなかったのは、次の4つです。
・日本のADICOやDubai Investorの分配が、いまも予定どおり入っているか
・日本の投資家のお金が入った商品が、AIX側が影響を認めた「一部」に入るかどうか
・AIX Secure SPV Ltdが10月12日までに行うとした、投資家への報告があったかどうかと、その中身
・清算が決まるかどうか
日本の当局の動きも調べました。
・ADIF JAPANアセットマネジメント株式会社は、金融庁の金融商品取引業者登録一覧(2026年8月31日現在)に、関東財務局長(金商)第1877号として載っています。ただし、この会社の登録は、グループの別の会社が扱う商品や、個々の勧誘について、当局が安全だと保証するものではありません。
・私が確かめた金融庁の無登録業者の一覧には、ADIF、ADICO、AIXの名前は見当たりませんでした。消費者庁や国民生活センターが名前を挙げた発表も、見つかりませんでした。ただ、一覧に載っていないことだけで、問題がないとは言えません。
・金融庁は、特定の会社を名指しせずに、「合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!」という注意喚起を出しています。そこでは、合同会社の業務執行社員以外の人が、業として社員権の取得を勧める場合には、金融商品取引業の登録が必要だと説明しています。
・ADIF側は、業務執行社員が自分で募る「自己募集」の仕組みは、顧問弁護士の見解として金融商品取引業に当たらない、と説明しています。個々の勧誘がどちらに当たるかは、この記事では判断していません。
契約している人が、いま確かめること

1. 毎月の分配が入っているか、通帳で確かめる
入った日と金額を、毎月メモしておきます。予定の日に入らなかった月があれば、それも記録します。
2. 契約書と社員権証書を読み直す
契約の相手の正式な会社名、満期の日、途中でやめるときの条件と申し出の期限、お金が戻る時期と手数料。ここを先に押さえます。
3. ADIF側に、メールなど記録に残る形で聞く
聞くことは3つです。自分のお金は、AIXのどの商品に入っているのか。その商品は、AIX側が影響を認めた「一部」に入るのか。分配のお金は、いまもAIXから届いているのか。
返ってきた答えは、そのまま保存しておきます。
4. 証拠を保存する
契約書、振込の記録、勧誘のときのLINEや資料、説明会の動画のURL。あとから見られなくなることがあるので、いまのうちに画面の写真も撮っておきます。
5. 追加の入金と、知人への紹介を控える
状況がはっきりするまでは、口数を増やしたり、人に勧めたりしないでください。
6. 一人で抱えずに相談する
消費者ホットライン188にかけると、お住まいの地域の消費生活相談の窓口につながります。
金融サービスについては、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)に相談できます。
法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)では、使える法制度や相談先を案内しています。
契約の解除や返金の請求について、個別の判断が必要なときは、弁護士に相談してください。
いま勧誘されている人へ
勧誘してくる人が、悪い人とは限りません。
私に話を持ってきた知人がどう理解して勧めていたのかは、私には分かりません。
ただ、紹介してくれた人の人柄と、お金の行き先が確かかどうかは、別の話です。
次の3つに答えが出るまで、お金は入れないでください。
・自分のお金は、最後にどこの会社の、どの商品に入るのか
・その商品は、どの国の、どの当局が見ているのか
・分配が止まったとき、誰に、どうやって返してもらうのか
私が1年前に返事をしなかったのも、この3つに答えが出なかったからです。
よくある質問
Q. ADICOは詐欺ですか?この記事で確かめた公表資料からは、ADICO、ADIF、AIXを詐欺だと断定することはできません。ADIF側は、新しい出資金を配当に回す「ポンジ・スキーム」とは全く違う、と説明しています。
ケイマン諸島の当局の発表、支払いをめぐる訴え、清算の申し立ては、それぞれ相手も意味も違い、どれも詐欺が確定したことを示すものではありません。
そのうえで私は、事実が出そろうまで、新しくお金を入れる判断はしません。
Q. 日本の契約者の分配は止まっていますか?
公開されている情報では、確かめられませんでした。ADIF側は9月18日に、ADIFは影響を受けていないとするAIXの声明を伝えています。
ご自身の通帳で確かめるのが、いちばん確実です。
Q. ADIFは金融庁に登録していますか?
ADIF JAPANアセットマネジメント株式会社は、金融庁の金融商品取引業者登録一覧に、関東財務局長(金商)第1877号として載っています。
ADICO オーナーズクラブやDubai Investorは、合同会社が自分で出資者を募る仕組みだと、ADIF側は説明しています。金融庁の注意喚起との関係は、上の「発表と報道で伝えられていること」に書きました。
Q. 10月30日に何が決まりますか?
ケイマン諸島の裁判所で、清算の申し立ての審理が予定されていると案内されています。清算が始まるのか、先に延びるのか、取り下げられるのかは、まだ分かりません。
Q. 途中で解約できますか?
公開されている案内の、満期と更新の条件だけでは、途中で解約できるかどうかは判断できません。
手元の契約書で、途中でやめるとき(退社)の条件、申し出の期限、お金が戻る時期、手数料を確かめてください。
まとめ
1年前、私はADICOに返事をしませんでした。
お金の行き先と、それを見ている当局が、説明から見えなかったからです。
いま、そのお金の行き先とされるAIXをめぐって、会社自身が商品の一部への影響を発表し、訴えや清算の申し立ても報じられています。
日本の契約者にどう影響するかは、まだ分かりません。
契約している方は、通帳、契約書、ADIF側からの回答の3つを、まず手元にそろえてください。
ドバイの投資の勧誘については、こちらの記事にもまとめています。
ドバイの投資の勧誘が増えている理由と、断り方(2026年7月の記事)
出典
この記事は、次の資料をもとに書いています(2026年10月17日に確認)。
- ケイマン諸島金融庁(CIMA)「AIX Secure SPV Ltd - Not Regulated by CIMA」2026年9月14日
- ADIF JAPANアセットマネジメント「インターネット上の情報に関するAIX Investment Groupの見解および運営状況のご報告」2026年9月18日
- ADIF JAPANアセットマネジメント「中東情勢に関するAIX Investment Groupからの重要なお知らせ」2026年3月17日
- ADIFグループ「ADIFグループの投資事業に関する透明性」2026年1月19日
- ADIF JAPAN合同会社「資産運用のご案内 海外投資 Dubai Investor」2024年9月
- ADIF JAPANアセットマネジメント 会社概要
- AIX「Statement from AIX Secure SPV Ltd」2026年9月26日
- AGBI「Dubai's AIX faces $10m claims over alleged missed payments」2026年9月29日
- Financial Times「Investors pursue Dubai investment group over missing payments」2026年9月27日(有料記事)
- International Adviser「Investors take legal action against Dubai investment group」2026年9月29日
- ZAWYA「Dubai's AIX promises update by Oct.12 as investors file claims over payment delays」2026年9月28日
- Global Restructuring Review「AIX faces Cayman liquidation over alleged investor payment failures」2026年9月28日(有料記事)
- AIX Investors United(投資家の団体)清算の申し立ての案内
- Trustpilot「AIX Investment Group」の口コミ
- 金融庁「合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!」
- 金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」(金融商品取引業者登録一覧 2026年8月31日現在)
- 消費者庁「消費者ホットライン」
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」
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