「投資を紹介した責任は、紹介しただけの自分にもあるのか」
この記事にたどり着いたあなたは、たぶん今その言葉で検索したはずです。自分が組成した案件でもない、運営元でもない、ただ良かれと思って人に伝えただけ。それなのに案件が飛んで、紹介した相手からお金が返ってこないと言われている。
結論から言います。紹介した側にも責任はあります。「私も被害者だ」という言い分は、自分の中では成り立っても、あなたからお金を出す気になった相手には通じません。
私も同じ立場に立ったことがあります。数千万円を騙された当事者であると同時に、詐欺案件を人に紹介してしまった側でもあります。大阪府知事認可の不動産会社を20年経営し、投資副業サロン(コアメンバー)は12年目で累計500名を超えました。その中で、紹介してしまった側の相談も数えきれないほど受けてきました。
この記事では、紹介した側の責任が具体的に何を指すのか、被害者への謝罪と弁済で実際にやったことは何か、そして「一度は許すが二度は許さない」という私の判断基準を、私自身の実話を軸に書きます。
結論:紹介した責任は「道義」「お金」「法律」の3つに分かれる
投資を紹介した責任と一口に言っても、中身は3つに分かれます。ここを混ぜて考えるから、頭が真っ白になるんです。
- 道義の責任:あなたが言わなければ、その人はそのお金を出していない。この一点は動かせません。
- お金の責任:弁済をするのかしないのか、するならどこまでか。自分の判断で決めるしかない部分です。
- 法律の責任:被害者から損害賠償を求められることがあります。責任が認められるかどうかは事情ごとに変わるので、ここは弁護士に確認してください。
紹介した側が最初にやりがちなのは、法律の責任だけを気にして「自分は運営元じゃないから大丈夫のはず」と自分を納得させることです。ですが、相手が一番怒っているのは道義の部分です。連絡を絶った瞬間、あなたは「逃げた紹介者」になります。
私も詐欺案件を紹介してしまった一人です
自分が組成していない(運営元ではない)詐欺案件を人に紹介してしまい、被害者を出してしまったという方は、私のブログ読者の中にも多いのではないかと思います。私もそのうちの1人で、数年前に一度だけあります。
当時、信用(心酔)していた投資の師匠が組成する案件は全て当たっていたので、私も案件のことを細かく調べずに「師匠のお勧めする案件なら」という思いで、とある私募投資案件を人に紹介して投資してもらいました。
そのわずか数ヶ月後に、師匠が「中枢」としていた案件が破綻し、ドミノ倒しのようにその他の案件も全て破綻しました。後で調べたら、ほぼ全ての案件がポンジスキーム(新しく入ってきた人のお金を古い出資者への配当に回しているだけの自転車操業)でした。
元師匠はその後逃亡。この投資詐欺事件は一部メディアにも出ました。被害額があまりにも大きく、かつ自分が運営元だったので、もう二度と表舞台には出てこないでしょう。というか、出てきてほしくもありません。
詐欺案件を紹介してしまった紹介者として、私もできる限りの弁済とお詫びをしました。そして、もう二度と私募投資案件(一般に公開されず、身内や知人の間だけで出資を募る案件)にはお金を投資しないし、人には絶対に紹介しないと誓いました。
この経験でわかったのは、紹介した側の苦しさは「お金が減ったこと」ではないということです。信じてくれた人の顔が浮かぶこと、これが一番きつい。だから逃げる人が出るんですが、逃げた時点で、あなたを騙した人間と同じ側に立つことになります。
被害者への謝罪と弁済で、私が実際にやったこと
1. 自分から連絡する。相手から言われる前に
破綻の情報が回ってから連絡するのと、こちらから先に伝えるのとでは、その後の関係がまったく変わります。後回しにするほど「隠していた」と受け取られます。
2. 言い訳を先に出さない
「私も入れていた」「私も被害者だ」は事実であっても、最初に言ってはいけません。相手からすれば、それは紹介した責任を薄める言葉にしか聞こえないからです。まず謝る。事情の説明は相手が聞く気になってからです。
3. 自分が知っていた範囲を隠さず全部話す
誰から聞いた案件なのか、自分はどこまで調べたのか、報酬を受け取っていたのか。特に報酬の有無は必ず自分から先に言ってください。後から出てくると、その瞬間に全部が嘘だったことになります。
4. 弁済は「できる範囲」を数字で示す
私はできる限りの弁済とお詫びをしました。ここで大事なのは、全額返せるかどうかではなく、いつまでにいくら出せるのかを自分の口から数字で言うことです。曖昧にしたまま引き延ばすのが最悪の対応です。なお、弁済の話が金額として大きくなる場合や、相手が法的手段を口にした場合は、自己判断で書面にサインする前に弁護士に相談してください。
5. 二度と同じことをしないと決めて、実際にやめる
私は私募投資案件への出資も、人への紹介も、あの日にやめました。口で誓うだけなら誰でもできます。行動として何をやめたかが、相手にとっての唯一の証拠になります。
やってはいけない対応
・連絡を絶つ、SNSだけ更新し続ける
・「自分も被害者だ」を最初に言う
・別の案件で取り返そうとして、同じ相手をもう一度誘う
3つ目が本当に多いです。損を埋めようとして次の話に手を出し、被害を二重にする。これで信用を完全に失った人を何人も見てきました。
紹介した側が今日やること
いま「紹介してしまった」と気づいた段階なら、順番はこうです。
- 紹介した相手の一覧と、それぞれの投資額・投資時期を紙に書き出す
- 自分が紹介に使った資料、送ったメッセージ、勧誘元とのやり取りを消さずに保存する
- 案件がまだ動いているなら、相手に「解約と資金回収を検討してほしい」と伝える
- 自分が報酬を受け取っていたなら、その金額と受け取り時期を確定させる
- 相手に自分から連絡して謝罪し、できる弁済額と時期を伝える
- 被害が広い、金額が大きい、相手が法的手段を検討している場合は弁護士に相談する
証拠を消さないこと。これは自分を守るためでもあります。あなたがどこまで知っていて、どこから騙されていたのかを説明できる材料は、やり取りの記録しかありません。
運営元だけが悪人ではない。繋いだ人間にも罪がある
詐欺案件を組成した人間が最も悪人であることは間違いありません。ですが、セミナー活動や口コミで詐欺案件を人に紹介し、運営元と繋いでいた紹介者も、運営元同様に罪があります。
私が繰り返し書いているのは、悪気がない紹介がいちばん被害を広げるということです。詐欺かどうかの善悪の判断ができず、ただマネーリテラシーが低いために投資案件を勧誘しているケースは本当に多い。紹介して1口乗ってくれれば自分にも報酬が入る、その人がまた誰かに紹介すれば報酬が入る、そんな軽いノリで友人知人に広がっていきます。この構造は信用できる人は投資案件を勧誘しない。勧誘された時点で信用できる人ではないで詳しく書いています。
そして紹介者が親や家族から見て身内だった場合、話はさらに厄介になります。実際に、成人した子供が海外積立とワンルーム投資の勧誘をしていると相談してきた親御さんもいました(【質疑応答】子供が海外積立の悪徳紹介者化している)。本人が金融庁の許可がない会社から報酬を受け取っていると自覚しながら、加入の手伝いをしているだけだと言い張る。ここまでくると、紹介した責任という話ではなく、仕事のやり方そのものを変えるしかありません。
一度は許すが二度は許さない、という判断基準
つい魔が差して一度やってしまったが、猛省して二度と同じことをやらないと誓う。私はそれが当たり前だと思っています。
ところが周りを見ていると、二度三度と詐欺案件を紹介しているにも関わらず、いまだに投資系のビジネスをやっていて、しかもその進捗などをFacebookなどにアップしているという能天気な人間を見かけます。「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」戦法なのでしょうか。しきりにアジア中で投資案件ばかり探しているようで、その中で幾つも詐欺案件を紹介して被害者を多数生んでいるにも関わらず、そんなことは何処吹く風で次の案件に手を出しています。
数字で考えれば、この戦法が成り立たないことはすぐわかります。1口100万円の案件を5つ紹介して、1つが年利15%で回ったとしても、残り4つが詐欺案件だとマイナス400万円スタートです。年利15%の案件で上手く回したとしても、元本回収まで30年以上かかります。言わばこんな状態なのに、「投資させる方」も「する方」もどうかしてますよ本当。
だから私の線引きはシンプルです。一度目は、猛省して手を引いたかどうかで判断する。二度目があった時点で、その人の話は二度と聞かない。一度目の失敗そのものではなく、失敗した後の行動を見るということです。
堅実で賢い読者が多いと言われている私のブログの読者さんは、以下のことを肝に銘じてください。
詐欺案件を2回以上紹介している紹介者のことは、絶対に信用しないこと。Facebookに東南アジアなど海外投資案件の進捗状況をしきりにアップしている人間は信用に値しない
そもそも紹介する側にならないための線引き
紹介した責任を負わないための一番確実な方法は、紹介しないことです。身も蓋もないですが、これに尽きます。
私が自分に課しているルールは3つです。
- 私募投資案件には出資しないし、人にも紹介しない
- 自分が中身を最後まで説明できない商品の話は、誰にもしない
- 報酬が発生する紹介はしない
特に3つ目です。報酬が絡んだ瞬間、あなたの判断は必ず甘くなります。オフショア商品などで紹介者を通す場面はどうしてもありますが、その紹介者との付き合いが長く続くかどうかは、契約前に見ておくべき点です。名刺を渡せない人、一つの商品しか案内しない人、質問に答えられない人は避ける。この判断基準はオフショア金融商品や保険の紹介者は仲間として長く付き合っていける人がいいにまとめています。
また、「枠に限りがある」「高利回り」だけを強調して中身を話さない案内は、送り主が誰であっても同じ扱いでいいです(実例は定期預金を解約させて私募投資案件に投資させようとする業者に気をつけよう)。私募案件は利回りではなく、案件の内容と情報の質、運用会社の実績と評判を調べた上で判断してください。
注意点:ここから先は専門家の領域です
この記事で書いたのは、私自身が紹介者側に立った経験と、その後に決めた行動基準です。法的な責任の有無や弁済額の判断は事情によって結論が変わります。損害賠償を請求された、書面へのサインを求められたという場合は、必ず弁護士に相談してください。
弁済したお金や受け取っていた報酬の税務上の扱いについても、私は判断できません。税理士か税務署に確認してください。
それから、私は投資案件の販売・勧誘・お取次は一切行っていません。この記事は特定の企業や商品を詐欺だと断定するものでもありません。あくまで、売り方と紹介のされ方を見て自分で判断できるようになってほしい、という趣旨で書いています。
まとめ
投資を紹介した責任について、この記事の要点をまとめます。
- 紹介した側にも責任はある。「自分も被害者」は最初に言ってはいけない
- 責任は道義・お金・法律の3つに分かれる。法律部分は弁護士に確認する
- 私自身、師匠を信じて私募案件を紹介し、できる限りの弁済とお詫びをした
- 謝罪は自分から先に。報酬の有無を隠さず、弁済は数字と期限で示す
- 損を取り返そうとして次の案件を紹介するのが、最悪の二次被害
- 一度目は猛省して手を引いたかで判断し、二度目があればもう信用しない
- 紹介する側にならないのが最善。報酬が絡む紹介はしない
紹介してしまった過去は消せません。ですが、その後に何をやめて、何をやり直したかは自分で決められます。私はそこで人を見ています。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







