ファイナンシャルプランナー(FP)や税理士といった「お金の専門家」から、投資用ワンルームマンションと海外積立(オフショア長期積立)をセットで勧誘される。この相談が、私のところに何年も途切れずに届きます。
不動産投資セミナーに行ったらFPを紹介され、そのFPからRL360(ロイヤルロンドン)やメティス香港の長期積立を契約させられた。逆に、FPに資産形成の相談をしたら新築の投資用ワンルームマンションを勧められた。あなたにも心当たりはありませんか。
私は投資詐欺で数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきました。投資副業サロン「コアメンバー」は12年目で、累計500名を超える方と関わってきました。不動産の売る側の内情も、海外積立を契約してしまった人の相談も、どちらも間近で見てきた立場です。
結論から書きます。この2つをセットで勧めてくる人間は、あなたの資産形成ではなく、自分に入る紹介手数料を見ています。理由を、構造・実例・見分け方の順に説明します。
なぜワンルームと海外積立は「セット」で勧誘されるのか
この2つに共通しているのは、たった1つです。
販売(紹介)手数料が、有り得ないほど高額だということ。
投資用ワンルームマンションは1部屋売るだけで数百万円の手数料収入になります。海外の長期積立を紹介すれば、積立金の何ヶ月分もの手数料収入が紹介者に入ります。一般に語られる目安としては、ワンルームで販売価格の3〜5%、海外積立で毎月の積立金の数ヶ月分といった水準です。
だから、片方を売った相手にもう片方も売る。そのほうが1人あたりの実入りが大きくなるからです。
そして、この2つを扱う人間は裏で繋がっているケースが非常に多い。海外積立を紹介するFPと、新築の投資用ワンルームマンション販売会社(社長や社員)が、互いに顧客を紹介し合う相互紹介の仕組みを作り、情報の少ない人から高額な手数料収入を得続けています。2023年以降に金融庁の規制強化の動きがあった中でも、手法を変えながらこの構造は残っています。
ちなみに、オフショア長期積立の悪徳紹介者が次に選ぶ仕事で最も多いのが、新築の投資ワンルームマンション営業です。この点はオフショア長期積立商品の悪徳紹介者が次に選んだ仕事で最も多いのが新築投資ワンルームマンション営業でも書きました。人が入れ替わっているのではなく、同じ人間が同じ売り方を持ち込んでいるだけなのです。
その高額手数料を払っているのは、契約したあなたです
なぜこんなに高い手数料が出せるのか。答えは単純で、コスト(価格)とバリュー(価値)が全く合っていないからです。
新築の投資用ワンルームマンションも海外の長期積立も、価値に比べて価格が圧倒的に高い。そして、その差額を負担しているのは契約者本人です。つまりあなたが契約することで、不動産業者と紹介者だけが得をする仕組みになっています。
コストを上回るバリューがあるものに投資する。投資家として当たり前のことですが、お金の知識(マネーリテラシー)が十分でない状態だと、喋りの上手いFPや不動産業者につい信じ込まされてしまいます。
国内の資産運用商品では手数料の開示義務化が進んでいます。それでもこれらの商品は、手数料の全体像が十分に説明されないまま販売されるケースが多いのが実情です。
実際に起きている被害のかたち
私のところに届いた相談や、報告として上がってきた典型例を挙げます。
40代の会社員Aさんのケース
税理士に「節税になる」と言われ、都内の新築ワンルームを2戸購入。家賃収入がローン返済を下回り、毎年数十万円の赤字。10年後には物件価値が半減し、売却してもローンが残りました。
30代の女性Bさんのケース
FPからRL360を勧められ、毎月5万円・25年契約の積立を開始。手数料が高く、10年で解約した際に戻ってきたのは元本の半分でした。
最悪なのは「両方まとめて」のケース
酷い人になると、新築ワンルームマンションをフルローンで3部屋契約させられ、5000万円近い債務を背負った上に、RL360の長期積立で毎月5万円以上を支払っていました。
しかもこの手のケースでは、「家賃保証があるから大丈夫」「節税になる」と説明され、積立のほうは「最初の2年間だけ支払えば、残りの期間は減額や停止もできる」と説明されています。実際には、解約時に大幅な元本割れが発生します。
海外積立だけなら、間違いに気付いた時点で損切りしたり積立を止めることで、日常生活に大きな支障は出にくい。
しかし、フルローンで投資用ワンルームマンションを複数戸買わされると、数年後に債務整理や自己破産に陥る可能性が出てきます。節税分以上の赤字を垂れ流し、中古価格が下がりすぎて売るに売れない。負の連鎖とはこのことです。
ワンルーム側の失敗の構造はワンルームマンション投資で自己破産する人が後を絶たない理由に詳しくまとめています。
投資用ワンルームマンションの何が危険なのか
収支が赤字になりやすい
物件価格が2000万〜4000万円なのに対し、家賃収入は月5万〜8万円程度。ローン返済や管理費を賄えず、赤字になることが多い構造です。
資産価値が大きく下がる
購入直後に2〜3割、10年後には半額以下になるケースも珍しくありません。ローンが残った状態では売却も難しく、「売れない負債」になります。
「節税」の誤解
「相続税対策になる」「減価償却で所得税が下がる」と宣伝されますが、一時的な節税効果にすぎず、長期で見れば損失のほうが大きくなるリスクがあります。税務の扱いは個別事情で変わりますので、必ず税理士や税務署に確認してください。
売っている側は買っていない
投資ワンルームと海外積立を勧誘している人間は、自分ではどちらの商品も契約していないケースが大半です。ワンルームマンション販売会社の社員も同じで、彼らが一番「こんなものを買ってはダメだ」と分かっています。不動産業界の人間が絶対に手を出さない投資法だ、と私は何度も書いてきました。
悪質な業者は、実際には成り立ち得ない収支シミュレーションを見せて契約を迫ります。節税対策や生命保険代わりという謳い文句も定番です。
海外積立(RL360・メティス香港など)の何が危険なのか
初期の2年は解約してもほぼ戻らない
RL360の「Quantum」などのプランでは、最初の2年間の払込が「初期ユニット」として扱われ、解約してもほぼ元本が戻らない設計になっています。加えて、管理手数料や運用手数料が毎年差し引かれます。
流動性が極端に低い
25年といった長期契約が前提で、途中で資金を引き出すのが難しい。急な出費に対応できません。
わざと超長期の契約を提示される
ロイヤルロンドン、メティス香港、インベスターズトラストといった商品は、本来なら5年という短い期間での契約も可能です。それにもかかわらず、悪質な税理士やFPは25年や30年といった超長期の支払いを唯一の選択肢として提示し、契約を進めます。理由は明快で、契約期間が長いほど紹介報酬が増えるからです。
リターンの誇張
「年利10%以上も可能」といった宣伝もありますが、実際の利回りは市場次第であり、そこから手数料が引かれます。手数料を引いた実質の利回りは、わずかにプラスか、マイナスという人も多い。夢のような右肩上がりのシミュレーションを見せられたとしても、あれは手作りのエクセルグラフに過ぎません。右肩上がりのグラフを作るだけなら中学生でもできます。
紹介者側のコミッションの実態はRL360・メティス香港・ドミニオン・インベスターズトラストを未だに勧誘してくる人間の紹介者コミッションのカラクリで公開しています。
なお、RL360は2026年5月末で日本人の新規口座受付を停止しました。これから新規に始めることはできません。すでに契約している方は、継続・解約・途中譲渡のどれを選ぶかの判断が重要になります。私は自分が譲り受けた経験もあり、解約の相談にも長く乗ってきましたが、現在は譲渡のお取次のお手伝いも販売も一切行っていません。
セット勧誘してくる人間の見分け方
手口はここ10年ほとんど変わっていません。次の特徴が重なる相手は、まず疑ってください。
- 自称成功者としてギラギラのオーラを出し、高級車・高級スーツ・高級カバンで固めている
- SNSではパーティや旅行三昧のリア充投稿ばかり
- 「不労所得」「資産形成」といった言葉をSNSで発信し、そこから高額商品の勧誘に繋げてくる
- 右肩上がりのシミュレーション表を根拠として見せてくる
- 「今日中に決めれば特典が」と即決を迫る
- 自分自身は、勧めている商品を契約していない
肩書きは判断材料になりません。本を書いている有名な税理士や、大手不動産会社の顧問としてセミナー活動に精を出すFPが、これらをセットで勧誘しているという報告がいくつも上がっています。社会的地位がある人でも、そのジャンルで有名な人でも、見た感じ誠実そうな人でも、関係ない。本当に顧客の資産形成を考えているなら、この2つは勧めません。もっと他に選択肢が幾らでもあるからです。
FP相談そのものの構造的な問題についてはFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してはいけない理由にまとめました。
騙されないための5つの対策
1. 即決しない
「今日中に決めれば」と言われても、必ず一度持ち帰る。契約前に冷却期間を設けてください。
2. 紹介者の報酬を確認する
「この契約であなたにはいくら入るのですか」と聞いてみる。手数料の総額と構造を開示してもらう。回答を濁す人は要注意です。
3. セカンドオピニオンを取る
経験のある投資家、不動産関係者、家族、消費者庁の電話窓口など、複数の意見を聞く。第三者の目を必ず入れてください。
4. ネットで先に調べる
「RL360 評判」「ワンルーム投資 詐欺」などで検索し、他人の体験談を確認する。X(旧Twitter)の生の声も参考になります。
5. 関係を断つ覚悟を持つ
勧誘がしつこいなら、縁を切る勇気も必要です。長期の資産形成に必要なのは、誠実な相手だけです。
すでに契約してしまい、誰にも相談できずにいる方は投資詐欺・オフショア積立・ワンルームマンション投資で騙された人が今すぐやるべきことを先に読んでください。
積立をしたいなら、比べるべきはNISAです
手数料は、NISAが年0.1〜0.5%程度なのに対し、海外積立は初期費用に加えて毎年の手数料、さらに途中解約のペナルティが乗ります。
流動性は、NISAならいつでも売却できますが、海外積立は長期の拘束があります。税制も、NISAは日本国内で非課税、海外積立は対象外で申告が必要です。透明性も、国内の金融庁の監督下にあるNISAと、海外制度で説明が不透明になりがちな商品とでは差があります。
2024年に始まった新NISAなら、年間360万円まで非課税で運用でき、手軽に始められます。積立をしたいだけなら、国内のNISAで十分です。運用の成果は市場次第であり、元本を保証するものではない点はご承知おきください。
その上で、私が読者に勧めている進め方は次の通りです。
- まず新NISAを使う
- 相談相手を選ぶなら、WEBサイトを持ち日本人も複数在籍する独立系のFP(IFA)を選ぶ
- 書籍や投資家の話で基礎知識をつける
- 株式・債券・預金などに分散する
これだけは頭に入れておいてください
お金の知識が十分でないうちに、不動産セミナーやFP相談へ安易に行くべきではありません。相手は百戦錬磨の営業のプロです。こちらを信じ込ませるのは朝飯前です。
マインドセット①
FPや税理士から海外の長期積立を勧誘されても契約しない。
マインドセット②
フルローンでの新築(築浅)投資用ワンルームマンションは買わない。
投資の基本は、まずお金を減らさないことです。この2つを守っているだけで、大きなお金を失うことはまずありません。
まとめ
- ワンルームと海外積立のセット勧誘は、紹介手数料が異常に高い商品同士の抱き合わせ
- その手数料を払っているのは契約者本人。価格と価値が釣り合っていない
- ワンルームは「毎月赤字」と「資産価値の下落」のダブルパンチ
- 海外積立は「高い手数料」と「低い流動性」が同時に来る。しかも超長期契約を意図的に提示される
- フルローンで複数戸を買わされると、債務整理や自己破産が現実味を帯びる
- 積立だけが目的なら、国内の新NISAのほうが低コストで自由度も高い
- 「専門家だから安心」は成り立たない。肩書きではなく手数料の流れを見る
お金のプロという肩書きが、必ずしもあなたの味方であることを意味しません。信頼していたFPや税理士に勧められたとしても、即決せず、自分の目で判断してください。怪しいと感じたらその場を離れる。それが一番の防衛策です。
資産形成は、焦らず、惑わされず、堅実にコツコツと。私は今後もこの件について注意喚起を続けます。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







