個人で物件を貸している大家さんから聞く困りごとは、家賃の集金より、年に1回の確定申告のほうが多いです。


大家の家賃台帳の画面(App Store掲載のスクリーンショット)
その申告用の数字を、毎月の入金チェックのついでにそろえておくアプリを自分で作りました。iPhoneとiPad向けの「大家の家賃台帳」です。
このブログでは、新築ワンルームの収支表を一行ずつ検算する記事を書いてきました。売る側の数字を鵜呑みにしない、というのが私の一貫した立場です。
ただ、すでに物件を持っている方には、もう一段手前の問題があります。自分の物件の数字を、自分で持っていないことです。
家賃は管理会社の明細で分かる。でも、どの部屋が先月まだ払っていないか、建物の減価償却費は今年いくらか、ローンの利子は年間でいくらか。ここを紙の家賃帳やExcelから毎年拾い直している方が少なくありません。
いちばん面倒なのは減価償却です

中古の簡便法、旧定額法、貸付割合にも対応
減価償却というのは、建物の代金を買った年に一度に経費にするのではなく、法律で決められた年数に分けて毎年少しずつ経費にする仕組みです。
木造なら22年、というように構造ごとに年数が決まっていて、中古で買った場合は経過年数から年数を出し直します。さらに取得した月からの月割りがあり、平成19年3月以前に取得した建物は計算方法そのものが違います。
毎年同じ計算なのに、毎年やり方を思い出すところから始まる。大家さんの申告で、ここがいちばん時間を食っているように見えます。
それで、アプリを作りました
大家の家賃台帳という名前で公開しました。できることは3つです。
1つ目は、家賃の入金チェックです。その月に契約中の部屋が並び、入金があった部屋をタップするだけで、家賃と共益費が「その月分」として記録されます。先月までの分で入金が確認できていない部屋は「未入金」として自動で表示されるので、滞納の見落としがなくなります。一部入金や日付の違う入金も個別に入れられ、家賃を改定しても前の月は以前の金額で照合します。
2つ目は、減価償却費の自動計算です。建物の取得年月、取得価額、構造を登録すると、法定耐用年数と償却率から定額法で計算し、取得した月から月割りします。中古の簡便法、旧定額法、自宅と兼ねている場合の貸付割合、建物附属設備にも対応し、「減価償却費の計算」の様式と同じ列でCSVに書き出せます。
3つ目が、年間集計です。経費は収支内訳書の科目(租税公課・損害保険料・修繕費・借入金利子・地代家賃・給料賃金・貸倒金・その他の経費)で入れ、領収書の写真も添付できます。年間集計では、収入と必要経費が、白色申告なら収支内訳書(不動産所得用)、青色申告なら青色申告決算書(不動産所得用)の項目番号の順に並びます。借入金を登録すれば、元利均等返済として年ごとの利子と年末残高も自動で概算します。
収支内訳書というのは、白色申告の人が確定申告のときに出す、1年間の収入と経費をまとめた用紙のことです。その並びで集計しておくと、あとは用紙に写すか、税理士さんにCSVを渡すだけで済みます。物件ごとの収支、「不動産所得の収入の内訳」、事業的規模(5棟10室)の目安も表示します。
設計について
アカウント登録もログインも不要です。記録と領収書の写真は端末の中と、あなた自身のiCloudにだけ保存されます。私を含め、開発者のサーバーには一切送りません。
同じApple AccountならiPhoneとiPadで自動的に同期します。iPadでは横向きの2列レイアウトで、入金チェックと集計を同時に見られます。バックアップの書き出しと読み込みにも対応しています。
広告は入れていません。
無料でどこまで使えるか
物件1件・部屋3室までは、入金チェック、経費の記録、減価償却費の計算、年間集計の閲覧が無料のままずっと使えます。区分マンション1戸や戸建1軒を貸している方なら、無料の範囲で使い続けられます。
物件と部屋を無制限にして、収支内訳書・減価償却費の計算・収入の内訳・借入金のCSVとバックアップの書き出しを使う場合は、買い切りの「ぜんぶ解放」で3,000円です。1回きりで、月額課金はありません。
家賃の台帳が月額課金では、経費が1つ増えるだけですから。
正直に書いておきたいこと
このアプリは帳簿づけの補助です。減価償却費や借入金の利子は一般的な計算方法による概算で、税務上の正確性を保証するものではありません。集計も、申告の様式の並びに合わせて数字をそろえるところまでが役目です。
申告にあたっての最終的な判断は、税理士さんや税務署の案内に従ってください。数字を「そろえておく」ことと「申告する」ことの間には、専門家の目が入るべきだと私は考えています。
こんな方に使ってほしい
・アパート1棟、区分マンション、戸建、駐車場を個人で貸している方
・毎年の確定申告で、減価償却と経費のまとめに時間がかかっている方
・管理会社に任せているけれど、申告用の数字は自分の手元に持っておきたい方
・Excelや紙の家賃帳から、スマホだけで完結する台帳に変えたい方
一般的な家計簿・会計アプリとの違い
家計簿アプリには減価償却の欄がなく、会計アプリは仕訳が前提で大家さんには重すぎます。
このアプリは、家賃の入金チェックを入口にして、出口を確定申告の用紙の並びに固定しました。物件を持っている人が自分の数字を自分で持つ、そのためだけの道具です。
大家の家賃台帳をApp Storeで見る(iPhone・iPad・無料)
アプリの詳しい説明は紹介ページに、お問い合わせはサポートページにまとめています。
これから物件を買おうとしている方は、先に新築ワンルームマンション投資のシミュレーションは嘘|収支表を一行ずつ検算するを読んでください。持ってからの台帳より、買う前の検算のほうが大事です。
私が開発した他のアプリは、無料iOSアプリ一覧にまとめています。







