建設業の一人親方や小さな工務店の方と話していて、いちばんよく聞くのが「この現場、結局いくら残ったのか分からない」という言葉です。


一人親方の現場台帳の画面(App Store掲載のスクリーンショット)
その「いくら残ったのか」を現場にいるうちに出して、年末の決算まで数字をそろえるアプリを自分で作りました。iPhoneとiPad向けの「一人親方の現場台帳」です。
私は副業の相談を受けるとき、どの事業でも「売上」より先に「手元に残ったお金」を聞きます。
建設業はここが特に見えにくい業種です。請負代金は大きいのに、材料費、職人さんへの外注費、自分と従業員の手間賃、駐車場や燃料代が、別々のタイミングで出ていきます。
入金があった時点では儲かった気がしても、あとから経費を足していくと思ったより残っていない。これが毎回起きます。
もうひとつの壁は、年をまたぐ工事です
12月に着工して3月に引き渡す工事があったとします。12月に払った材料費は、今年の経費なのか、来年の経費なのか。
建設業の決算では、まだ完成していない工事にかかった原価は「未成工事支出金」という名前で、いったん脇に置いておきます。完成した年度に、まとめて原価に入れる決まりだからです。
言葉は難しいですが、やっていることは「完成した年に、その工事の売上と原価をそろえて計上する」というだけです。ただ、これをレシートの山から手作業でやるのは骨が折れます。税理士さんに渡す数字を年末に何日もかけて拾っている、という話を何度も聞きました。
それで、アプリを作りました

材料費・労務費・外注費・経費の4区分と領収書の写真
一人親方の現場台帳という名前で公開しました。できることは3つです。
1つ目は、現場ごとの記録です。工事名、注文者(元請会社や施主)、元請か下請か、請負代金を登録し、かかった経費を「材料費・労務費・外注費・経費」の4つに分けてその場で入れます。領収書の写真も一緒に残せます。入金も同じ画面で記録します。
2つ目は、現場ごとの粗利です。請負代金から原価を引いた粗利と粗利率、入金済みと未入金が、現場を開けばすぐ分かります。収支は画像にして、元請や家族に共有できます。
3つ目が、年度ごとの集計です。個人事業主なら1月から12月、法人なら決算月を選ぶだけで、完成工事高(その年度に完成した現場の請負代金)、完成工事原価、完成工事総利益、未成工事支出金、未成工事受入金、完成工事未収入金が自動で並びます。現場を「完成」にした日で年度を分けるので、前の年度に払った原価は完成した年度に自動で繰り越されます。
集計は、工事経歴書用の現場一覧、年度の集計、全部の明細の3種類のCSVに書き出せます。Excelで開けるので、税理士さんにそのまま渡せます。
設計について
アカウント登録もログインも不要です。記録と写真は端末の中と、あなた自身のiCloudにだけ保存されます。私を含め、開発者のサーバーには一切送りません。
同じApple AccountならiPhoneとiPadで自動的に同期します。現場ではiPhone、事務所ではiPadで同じ台帳を開ける形です。同期を使わなくても端末の中だけで動き、バックアップの書き出しと読み込みにも対応しています。
広告は入れていません。
無料でどこまで使えるか
現場3件までの登録、経費と入金の記録、現場ごとの収支、年度集計の閲覧は、無料のままずっと使えます。まずはいま動いている現場を入れて、粗利がいくらかを見ていただければと思います。
現場を無制限にして、3種類のCSVとバックアップの書き出しを使う場合は、買い切りの「ぜんぶ解放」で2,000円です。1回きりで、月額課金はありません。
帳簿のアプリが月額課金では、経費が1つ増えるだけですから。
正直に書いておきたいこと
このアプリは帳簿づけの補助です。集計は入力された内容から計算したもので、決算書の並びに合わせて数字をそろえるところまでが役目です。会計や税務上の正確性を保証するものではありません。
決算や確定申告、届出にあたっての最終的な判断は、税理士さんや税務署、所管の窓口の案内に従ってください。数字を「そろえておく」ことと「申告する」ことの間には、専門家の目が入るべきだと私は考えています。
こんな方に使ってほしい
・一人親方や小さな工務店で、現場ごとにいくら残ったのかをはっきりさせたい方
・大工、塗装、電気工事、内装、リフォームなど、複数の現場を同時に抱えている方
・年をまたいだ工事の経費を、どちらの年に入れるかで毎年迷っている方
・税理士さんに渡す数字を、年末にレシートの山から拾うのをやめたい方
一般的な会計アプリとの違い
会計アプリの多くは、仕訳や勘定科目を前提にしています。現場で材料を買った直後に「借方と貸方」を考える人はいません。
このアプリは、現場と4つの区分と金額だけを入れる形に絞り、決算に必要な建設業特有の並び(完成工事高や未成工事支出金)を裏側で組み立てるところに重心を置きました。入口は現場のスマホ、出口は税理士さんに渡すCSVです。
一人親方の現場台帳をApp Storeで見る(iPhone・iPad・無料)
アプリの詳しい説明は紹介ページに、お問い合わせはサポートページにまとめています。
個人事業の税金の基本については、副業の税金完全ガイド(確定申告・住民税の落とし穴)も参考にしてください。
私が開発した他のアプリは、無料iOSアプリ一覧にまとめています。







