「このままでは日本は財政破綻します」
「ハイパーインフレに備えましょう」
マネーセミナーや個別の勧誘の場で、この2つのフレーズを聞かされた経験はありませんか。私のところには、こう言われて不安になり、その場の流れで海外の長期積立商品を契約してしまった方からの相談が今も届きます。
私は数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営し、投資副業サロン(コアメンバー)は12年目、累計500名を超える方と関わってきました。その立場から先に結論を書きます。日本の財政破綻やハイパーインフレは、少なくとも私たちが生きている間には起こりません。そして「破綻するから、この商品を」と言ってくる人は、情報を知らないか、あるいは知っていて売りたいだけのどちらかです。
この記事では、私がなぜ「日本は財政破綻しない」と言い切るのか、その根拠と、不安を煽る販売手法の見抜き方、そして破綻はしなくても現実に起きうる「円安」への備えまでをまとめます。断定的な話には反対意見もありますので、最後は必ずあなた自身で判断してください。
結論:私たちが生きている間に日本は財政破綻しない
私は以前から、日本の財政破綻は今後50年は有り得ないと書いてきました。200年後がどうなっているかは誰にも分かりませんが、少なくとも自分たちの人生の射程では、戦後の日本のような財政破綻・ハイパーインフレ・預金封鎖は起こらないだろうと考えています。
日本は先進国であり、経済力も世界の上位を占め、独自の産業と文化を持った国です。その国が、ある日突然に借金を返せなくなって国家として行き詰まる。そんなシナリオを、私は現実的だと思っていません。
もちろんこの考えに反対の意見もあるでしょう。それでいいのです。いろいろな意見を聞き、情報を集めた上で、最後は自分で判断する。それが投資でも副業でも、お金に関わるすべての判断の基本です。
「借金1000兆円」の中身を見れば怖くなくなる
セミナーで必ず出てくるのが「日本の借金は約1000兆円」「国民1人当たり800万円の借金」という話です。「借金時計」というサイトを見せられて、このまま積み上がれば財政破綻すると言われた方も多いはずです。
ですが、この債務は国内で消化されているものであって、諸外国から借りているお金ではありません。国民の預貯金が約1500兆円あり、そこから充当されている構造です。国内法人の預貯金を合わせれば2000兆円ほどと言われますから、単純に見てもまだ1000兆円の余地があるわけです。
さらに日本は世界トップクラスの対外資産国で、370兆円近くを諸外国に貸し付けている側です。日銀の純資産も300兆円ほどあります。アメリカやイギリス、ギリシャのように外から借りて回している国とは、そもそも立ち位置が違います。これだけの裏付けがあって、なぜデフォルト(借金の返済不能)を起こす必要があるのでしょうか。
注意:数字は記事執筆当時のものです
ここで挙げた債務残高や対外資産などの数字は、私がこのテーマを書いた当時に使っていたものです。現在の水準は最新の公表データでご確認ください。ただし「国内で消化されている債務であり、外から借りているわけではない」という構造そのものは、当時から変わっていません。
本当に破綻が近いなら、為替と金利がそう言うはずだ
私が一番わかりやすいと思っている確認方法がこれです。もし今この瞬間に財政破綻の懸念が少しでもあるなら、円は売られて円安に動き、国債は売られて価格が下落し、金利は跳ね上がるはずです。市場は理屈ではなくお金で答えを出しますから、嘘がつけません。
私が最初にこのテーマを書いた当時、一時120円だったドル円は100円ちょっとで推移し、国債価格はむしろ上昇して金利は下がっていました。これが世界から見た日本の評価であり、破綻を織り込んだ動きとは正反対でした。
セミナーで「破綻する」と言われたら、その場でスマホを開いて為替と長期金利を見てください。講師の話と市場の値動きが噛み合っていないなら、話している側が間違っています。
なぜ「破綻する」と言われ続けるのか
これは一種のマインドコントロールだと私は思っています。財務省は増税推進派ですから、財政不安を強調するネガティブな報道が流れれば、国民に「増税やむなし」と思わせやすくなります。連日のニュースを見ていれば、その空気は感じ取れるはずです。
書店に行けば「国家破綻に備えろ」といったタイトルの本が並び、手に取ったことのある方も多いでしょう。不安を煽ったほうが人の心は動く。これはお金のジャンルに限りません。
そして日本将来悲観論は今に始まった話ではなく、何年も前から「日本は破綻する」「ハイパーインフレが起きる」と言われ続けてきました。言い続けていれば、いつかは当たるかもしれない。当たらなくても誰も責任を取らない。売る側にとって、これほど都合のいい決め台詞はありません。
同じ構造で使われる言葉に「預金封鎖」もあります。これについては私たちが生きている間に預金封鎖が行われる可能性は0ですので心配無用で、戦後に行われた預金封鎖の本当の理由まで含めて書いています。
実際に起きていること:不安を煽って不利な契約をさせる手口
私が問題にしているのは、経済の見立てそのものより、それが販売トークとして使われていることです。違法な形で行われている海外の長期積立商品のセミナーでは、低レベルで間違った情報が発信され、金融や経済の知識がない方が信じ込んで契約してしまっています。
悪徳な紹介者や悪徳FPは、自分で正しい情報を集めようともせず、ネガティブキャンペーンに乗せられたまま財政破綻やハイパーインフレを声高に叫び、本来その商品に向いていない人にまで、不利な条件で契約させています。同じ「不安を煽って買わせる(もしくは売らせる)」手法は、新築ワンルームマンションの販売でも、ワンルームマンションの買取でも使われています。
不安を煽る流れは、だいたいこの3ステップです。
- まず大きな不安(破綻・インフレ・老後資金)を強調する
- その「唯一の解決策」として特定の商品を提示する
- 「今すぐ始めないと手遅れ」と契約を急がせる
解決策が特定の一商品に集約されている時点で、それは情報提供ではなく販売トークだと考えていいでしょう。
ですから私は、はっきりこう言っています。セミナーで講師やFPが「今後の日本は財政破綻する懸念が」「このままいくと日本はハイパーインフレになる可能性が」と言い始めたら、その場で席を立って帰ったほうがマシです。その先を聞いても得るものはなく、最後に不利な条件の契約を勧められて鬱陶しいだけです。
反対意見も知っておく:日銀の国債買い入れという論点
破綻しないと言い切る一方で、反対側の見方も知っておくべきです。2019年3月、経済評論家で参議院議員だった藤巻健史氏が、予算委員会での麻生大臣の答弁を受けて、こう発信していました。大きな借金があるのに金利がこれほど低いのは日本が信頼されているからではない、昔はほとんど買っていなかった日銀が爆買いしているからであり、一時は年間発行額の8割も買っていた、買いをやめれば暴落(長期金利の暴騰)だ、という趣旨です。
藤巻氏の発信には勉強になる点が多くあります。中には「それは過激ではないか」と感じる部分もありますが、私はすべてを鵜呑みにせず、あくまで参考として、自分の取るべきスタンスや行動に活かしています。
この姿勢が大事です。「絶対に破綻する」も「絶対に破綻しない」も、断言した瞬間に思考が止まります。反対意見に一度立ってみて、それでも自分はどう動くかを決める。私が読者にすすめたいのはそこです。
私自身、財政をめぐる状況が動いたときには考えを更新してきました。消費税増税が延期された局面では、日本は財政破綻しないと思ってましたがという記事で、リスクが高まったと言わざるを得ないと書いています。結論だけでなく、揺れた記録も残してあります。
破綻はしなくても、円安は加速しうる
ここが一番大事なところです。財政破綻やハイパーインフレは起こらないと考えていますが、日本が抱えるさまざまな問題とリスクを踏まえると、円安が加速する可能性は十分にあります。
私は以前から、10年後に1ドル200円を超えても全く不思議ではないと書いてきました。1ドル200円になれば、海外から買ってくるモノの値段は単純に2倍です。そしてそうなったときに、笑いが止まらないほど富を増やし続ける人がいるのもまた事実です。円だけで資産を持っている人と、外貨で持っている人の差が開くからです。
「破綻する」と煽られて不利な商品を掴まされるのは論外ですが、「破綻しないから何もしなくていい」というのも違います。備えるべきは破綻ではなく、じわじわ進む円の価値の低下です。この論点は、超円安時代に備えた資産形成と副業をしましょうで、そのときどきの状況とあわせて書いています。金利が上がる局面で家計に何が起きるかは、変動金利が上がったら住宅ローンは毎月いくら増える?にまとめました。
では、今日から何をするか
将来を悲観しても何も始まりません。どんな時代になっても自分と家族を守るために、いまできる準備を淡々と進めるだけです。
1. 特定のシナリオに賭けない
経済の先行きを正確に当てられる人はいません。だからこそ、ひとつのシナリオに賭けるのではなく、通貨・地域・資産クラス(株式や不動産といった資産の種類)を分けてリスクを分散させる。これが基本です。「絶対にこうなる」と断言して商品を勧めてくる相手こそ、もっとも警戒すべき存在だと考えてください。
2. 不安を感じたときの3つの行動
- その場で契約せず、いったん持ち帰る
- 主張の根拠となるデータを自分で確認する
- 利害関係のない第三者の意見を聞く
この3つを守るだけで、私のところに届く相談の大半は防げたはずのものです。
3. 無駄なものを増やさない
無駄な海外積立、無駄な保険、意味のない海外の私募投資。欲に目が眩んで海外不動産の開発案件に手を出している場合ではありません。ハイリスクな話に飛びつくのではなく、堅実な形で外貨の資産を少しずつ積み上げていく。その過程では、信頼できるアドバイザーと、信頼できる投資仲間を持つことが効いてきます。幅広く正しい情報を集めた上で、最後は自分で判断です。
なお、投資に絶対はなく、想定した結果が出ない可能性は常にあります。税金の扱いについては税理士や税務署に確認してください。
まとめ:破綻を売り物にする人から離れる
要点を整理します。
- 日本の債務は国内で消化されており、対外資産も厚い。私たちが生きている間の財政破綻・ハイパーインフレ・預金封鎖は考えにくい
- 本当に破綻が近いなら、為替と金利がそう動く。市場の値動きと講師の話が噛み合わないなら、話す側が間違っている
- 「破綻する」は特定の商品を売るための決め台詞として何年も使い回されてきた
- 反対意見(日銀の国債買い入れ)も知った上で、最後は自分で判断する
- 破綻はしなくても円安は進みうる。備えるべきはそちらで、通貨と資産の分散、そして収入の柱を増やす行動が現実的な答え
破綻という言葉を売り物にしている人からは、静かに離れてください。あなたのお金を守るのは、恐怖ではなく、確認する習慣です。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







