お金の相談をしようとファイナンシャルプランナー(FP、家計や保険、資産形成の相談に乗る専門職)を訪ねたら、なぜか海外の積立商品を勧められた。そんな相談が、私のところには何年も途切れずに届いています。
私は数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきました。投資副業サロン(コアメンバー)も12年目で、500名を超える方と一緒にお金の話をしてきました。その中で、FPから海外積立を紹介されて困り果てた方の相談を、本当に何度も受けてきました。
先に結論を書きます。お金の相談を持ちかけて海外積立を勧めてくるFPには、その場で契約せず一度立ち止まってください。誠実なFPも確かに存在しますが、海外積立を入口に持ってくる相手は、あなたのためではなく自分の報酬のために話している可能性が高いからです。
この記事では、2015年から私が書いてきた注意喚起をひとつにまとめ、勧誘トークの実例、不利な契約の型、実際にあった相談、そしてFPの見分け方まで整理します。
なぜFPが海外積立を勧めてくるのか
日本の教育では金融リテラシー(お金の知識)がほとんど教えられません。だから多くの方が社会人になって初めてお金と真剣に向き合い、その入口でFPに相談します。この最初の相談相手選びが、資産形成の大きな分岐点になります。
ところが現在のFP業界には、顧客の利益よりも自分の手数料を優先して助言する人が少なくありません。2023年から2025年にかけて金融庁による規制強化は進みましたが、私の実感ではまだ十分とは言えない状況です。
私自身もFPの知識は持っています。その上で申し上げると、FPは本来、公平中立な金融アドバイザーであるべき立場です。にもかかわらず、自分に入ってくるコミッション(紹介報酬)のことだけを考えて、偏った情報や商品を出してくる人が非常に多い。だから私は、国内のFPをそのままでは信用できなくなりました。
自分では契約していないのに勧めてくる
海外の金融商品を積極的に紹介しているFPの多くは、その商品を自分では契約していません。上辺の知識だけで説明するので、契約後のクレームが絶えないのです。
自分で契約していないから、契約後のアフターケアもやりません。相談にも乗れません。右肩上がりのグラフだけを見せて「海外にはこんな商品があります」と契約を迫り、デメリットは基本的に話さない。手数料の説明も省略する。商品の詳細を本当は知らないFPがほとんどです。
こういうFPを通して海外の金融商品を契約した方は、後で必ず後悔します。「最初に聞いていた話と違う」と保険会社やIFA(海外の金融商品を扱う代理店)に泣きを入れても、お金は返ってきません。
正しい知識と情報を持って契約すれば良い商品であっても、紹介者選びを間違えれば最悪の商品になる。私が繰り返し伝えてきたのは、この一点です。
実際の勧誘トークと、私の反論
当時、相談者から聞かされたセールストークは驚くほど似通っていました。対象商品はほぼRL360(ロイヤルロンドン)でした。代表的な4つを挙げます。
- 「マン島というオフショア地域で運用。90%保証がある」
- 「25年がお勧め。最初はボーナスが付くので最低500USDはやりましょう」
- 「3年目以降は引き出しも停止も自由です。減額もできますので安心してください」
- 「クレジットカードさえあれば大丈夫です。プロが運用しますので資産は増えます」
正しい知識がある人が聞けば、どれも首をかしげる内容です。
まず「マン島の90%保証」について、私は当時から疑問を投げかけてきました。保険会社が破綻した場合、その時点のファンド時価総額で100%保護される仕組みなのに、90%とは何を指しているのか。この説明を正確にできないまま口にしている紹介者が、実際にいたわけです。
次に「25年がお勧め」という説明です。お勧めなのは顧客にとってではなく、そのFPにとってのお勧めです。契約時の年齢が若ければ25年でも構いませんが、40歳を超えているなら20年、15年でも十分です。年齢も要望も聞かずに25年としか言わない人間は、その時点で悪徳だと思ってください。
「プロが運用するから増える」も同じです。RL360を契約した方で、契約から4年以上経って「資産が増えている」という人に、私は出会ったことがありません。
顧客に不利な契約の3つの型
相談を受け続けてわかったのは、不利な契約には決まった型があるということです。次の3つです。
- 特定の、手数料の高い保険会社の商品しか紹介しない
- 顧客の年齢や要望に関係なく、積立期間は25年か30年しか勧めない
- 初期口座期間のボーナスを強調し、最初の2年間だけ多く積み立てるよう勧める
このうちどれか1つでも当てはまれば、そのFPは自分の報酬のことしか考えていないと判断してよいと思います。
「2年だけ頑張れば後は放置でいい」は最も危険な嘘です
あり得ないような右肩上がりのグラフを見せて25年契約を迫り、「2年だけ積立を頑張って3年目から止めても、満期時には十分なお金が受け取れる」と説明する。この勧誘が当時からありました。
実際には、最初の2年だけ積み立てて後は放置した場合、初期口座の資産は手数料で食われ、満期時にはほとんど残らないと考えるべきです。
「最初に決めた積立金額を満期まで継続できる」という人は、そもそもごく僅かです。むしろ、その認識すら持たないまま契約している方ばかりでした。
私のところに届いた実際の相談
悪徳FPに勧められて海外積立を契約し、その後困り果てた方から、私は何度も相談を受け、解決の道筋を一緒に考えてきました。大半の方は、初期口座期間の途中であっても解約という選択をされました。その場に立ち会うたび、本当に悔しく、何とも言えない気持ちになりました。
2024年に書いた事例も紹介します。学資保険で教育資金を準備していたご家庭が、FPの説明を受けて学資保険を解約し、ロイヤルロンドンの積立プランに加入しました。
契約時の説明は「支払ったお金はいつでも引き出しできます」というものでした。ところが2年が経過してから引き出そうとすると実現せず、そのFPからは「25年後まで資金は引き出しできません」と言われる始末です。結果として、このご家庭は高額な損失を被りました。
この頃は、RL360やメティス香港といった海外積立を、25年・30年という長期の支払い前提で勧め、「最初の2年間だけ積み立てれば、その後は資金が自動で増えていく」と誤解を招く説明をする事例が増えていました。私はこれを、違法な勧誘に近い悪質なものだと受け止めています。
手口には共通のパターンがあります。高圧的な売り方で、顧客に十分検討する時間を与えず契約を急がせる。デメリットや潜在的なリスクの説明は省略する。そして将来の見通しだけを不当に楽観的に強調する。この3つです。
なお、悪質な勧誘を繰り返していたFPの名前は、当時からしっかり聞いていました。悪質さが度を越すのであれば、FP協会や金融当局へ通報する姿勢で臨んできました。そもそも、こうしたFPに紹介者としての権限を与えて野放しにしていたIFA側にも責任があります。特に香港の大手IFAの某社については、当時コアメンバーには社名をメールでお伝えしました。
FPが勧めてきたら警戒したい商品・案件
海外積立以外にも、FPから勧められたときに一度立ち止まってほしい分野があります。
1. 新築の投資用ワンルームマンション
- 購入価格が実勢価格より30〜50%も高く設定されているケースが報告されています
- 頭金0円・フルローンの投資物件で破綻するオーナーが増えています
- 家賃保証が切れる5年後以降に資産価値が急落するリスクがあります
私は不動産会社を20年経営してきた立場ですが、だからこそこの分野は厳しく見ています。私から見れば、海外積立を勧誘してくる人間と、投資用ワンルームマンションを販売している人間は同じです。売る商品が違うだけで、売り方は変わりません。
2. 海外積立保険(RL360、メティス香港など)
- 2023年の調査では、手数料が国内商品の3〜5倍も高いとされています
- 中途解約時の違約金が70%を超えるケースも多数報告されています
- 為替リスクに加え、海外の規制変更による追加リスクも存在します
3. 海外の高金利銀行口座
- 各国の預金保険制度の違いや、破綻時のリスクが十分に説明されないケースが多いです
- 金融活動作業部会(FATF)による監視強化で、口座凍結のリスクもあります
4. 海外FX
- レバレッジ規制の緩さを売りにしていますが、多くの国で規制強化の動きがあります
- 国内FXとの税制や法的保護の違いも把握しておく必要があります
5. 私募の投資案件
- 少額から始められる不動産投資クラウドファンディングなど、新しい形態も出てきています
- 元本保証と謳いながら、実際はポンジスキーム(後から入った人のお金を配当に回す自転車操業)の詐欺案件も多数あります
- 金融商品取引法の規制対象外である「みなし有価証券」を使った、脱法的な勧誘も増えています
手口は形を変えて続いている
2020年、新型コロナの影響で人が集まる勉強会やセミナーが開催できなくなり、新規の積立被害者は一時的に激減しました。これ自体は喜ばしいことでした。
ただし当時から私が警戒していたのは、FPや税理士といった資格を持つ人間が積極的に関与するようになっていたことです。「先生の言うことなら間違いない」と思い込んでしまう方が、どうしても多いからです。有名なFPだから、本を出している先生だからという理由で信用しないでください。
信頼していた友達や先輩からの話であっても同じです。小遣い稼ぎのエサに使われただけ、というケースを私は何件も見てきました。
そして予想どおり、セミナーが再開されると勧誘も戻ってきました。FPが開催するマネーセミナーや資産形成セミナーで海外積立の案内が積極的に行われていた時期もあります。私は当時から、こうしたセミナーには行かないことを強くお勧めしてきました。
現在は状況が変わった部分もあります。オフショア商品は会社ごとに新規契約の可否や条件が大きく変わり、RL360は2026年5月に日本人の新規受付を停止しています。ただし、扱う商品が変われば売り手はまた別の商品を持ってきます。危ないのは商品名ではなく、売り方と売り手です。
関連する事例は、こちらの記事でも詳しく書いています。
- 【2026年8月・注意喚起】「知り合ったFPにインベスターズトラスト(海外積立)をすすめられた」(最近の相談事例と、クレジットカード番号を渡す危険性)
- ロイヤルロンドン(RL360)・インベスターズトラストの悪徳紹介者に騙されるな!被害の実態と見分け方完全ガイド(紹介者側の被害実態をまとめた記事)
- FPに有料相談して効率の悪い海外長期積立とワンルーム投資を契約されられた(有料相談でも安心できない実例)
- 大阪のファイナンシャルプランナーからRL360°を勧誘されたら要注意(地域を絞った注意喚起)
- 安易にマネーセミナーに出席しないように気をつけましょう(セミナー経由の勧誘への警戒)
まともなFPを見分けるチェックポイント
誠実なFPは確かにいます。見つけるのが難しいだけです。相談相手を選ぶときは、次の点を確認してください。
- 独立系か、金融機関に所属しているか。特定の金融機関に所属していると、その会社の商品を優先して勧める場合があります
- 報酬体系を明確に開示してくれるか。相談料だけを収入源とするFee Only(フィーオンリー、商品の販売手数料を受け取らない形)のFPは、利益相反が少ない傾向があります
- 複数の選択肢を提示してくれるか。ひとつの商品だけを強く勧めるFPは要注意です
- CFP資格(FPの上位資格)を持っているか。CFPには継続的な研修義務があります
- 顧客からの評判や口コミを事前に確認したか。SNSやレビューサイトでの評判はチェックしておきましょう
付け加えると、FPの試験はそれほど難しいものではありません。試験範囲の基礎は知っていても、海外積立や海外金融については素人に毛が生えた程度の知識しかない人が多いのが実情です。お金の勉強は、テストよりも実践で学ぶことのほうがはるかに多い。資格の有無ではなく、その人が自分で契約し、自分で痛い目を見て、それでも続けてきたかどうかを見てください。
今日からできる3つのこと
最後に、いま勧誘を受けている方に向けて具体的な行動を挙げます。
- その場で契約しない。急がせる相手ほど危険です。持ち帰って、自分でも調べてください
- セカンドオピニオンを取る。提案が怪しいと感じたら、利害関係のない別の人に意見を求めてください
- 被害に遭った、または怪しいと感じたら相談先を持つ。消費者保護団体や監督機関は、対処法や法的手続きについて助言してくれます
そして、相談相手はFPだけに限る必要はありません。実際に自分のお金で投資をしている投資家や、信頼できる投資仲間の声のほうが、よほど実態に近いことがあります。焦らず、信頼できる相手を見つけることが何より大切です。
お金の相談は、一生の資産形成に関わる重要な問題です。オフショアだから楽して儲かる、高利回りが約束されているということはありません。最終的な判断は、必ず自分自身で行ってください。
※本記事は投資成果を保証するものではありません。契約内容や税務の取り扱いについては、必ず契約先および税理士・税務署にご確認ください。オフショア商品の最新の契約可否・条件は、ご自身で必ず確認してください。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







