「日本に住んでいてもHSBC香港の口座は開設できますか」この質問は10年以上、私のところに届き続けてきました。私は数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営しています。投資副業サロン(コアメンバー)は12年目、累計500名を超える方と香港渡航や口座開設の現場を見てきました。
この記事は、2015年から現在までにブログで書き残してきたHSBC香港口座の記録を1本にまとめ直したものです。状況はかつてとまったく違います。「まだ間に合いますか」と焦る前に、いま何が起きているのかを知ってください。なお私は、口座開設の販売・勧誘・お取次は一切行っていません。
結論|外国人のHSBC香港口座開設は制限され、実質終了しています
10年以上前には、代金50万円以上の口座開設ツアーまであったほど日本人に人気だった「HSBC香港口座開設」ですが、HSBC香港から公式アナウンスがあり、外国人に対する口座開設が制限されました。制限のアナウンスがあった年の初めまでは、私の友人や仲間も香港で開設できています。
正確には、開設そのものがゼロになったわけではありません。プレミア口座という種別のみ受付を行ってくれるという形です。ただしプレミア口座はHSBCの中で最上位の位置付けで、開設と同時に100万香港ドル(約1,900万円)の入金が必要になります。
それだけの資金を香港に持っていける人は限られますし、即座にオンラインバンキングから送るのも無理があります。長い間、外国人に門を開き続けてくれた銀行ですが、これをもって一般的な意味でのHSBC口座開設は実質終了となりました。
いま「HSBC香港の口座を作れます」と勧誘してくる相手には要注意です。
制限後も、口座開設をきっかけに別の金融商品を契約させようとする動きはなくなりません。開設できるという言葉だけを信じないでください。
10年でここまで変わった|開設難易度の記録
なぜ実質終了に至ったのか。その時々に書き残してきた現地の状況を時系列で並べます。
2016年ごろ|「焦る必要は全くない」時代
当時は、英語か中国語がそれなりに分かる人なら、パスポートと身分証明書、英字の住所証明を持って直接窓口に行けば開設できました。語学に自信がない方も、現地のサポート会社に依頼すればほぼ間違いなく開設できた時期です。
この頃は私の友人知人が何名も現地に行き、全員が無事に開設できています。夏休みや連休に渡航された方も、当時は成功率100%でした。
その一方で、「もう以前のようにいかない」と書く人が度々いました。私が見る限り、その多くは自分の有料サポートを通じて口座を作らせたいか、行員とのパイプが薄いかのどちらかです。「自分が紹介するオフショア金融商品を契約すれば口座開設は無料です」と謳う人もいましたが、この手の人が紹介すると「初期口座だけ多めに契約しましょう」と言われたり、手数料の高い保険商品を勧められたりします。
2017年|1対1の面談が必須になった
年が明けると、香港の銀行はさらに厳しい方針を打ち出しました。HSBC香港では開設希望者と1対1の面談が必須となり、サポートが入っている場合はその時間だけ退出を命じられると、現地から報告がありました。
想定質問を暗記していても、行員の気分次第で想定外の質問が飛んできます。言葉が分からないと回答できず、その場で断られる可能性が高くなりました。サポートに全部頼めば開設できた時代は、ここで終わったということです。
比較的言葉の壁が低かったスタンダードチャータード銀行やハンセン銀行も方針が変わり、一定額以上の初回預金が無い場合は同じくサポートを退出させて個人面談が行われると聞きました。少し前まで、言葉の話せない旅行客がふらっと行っても開設できた銀行です。
2018年|語学が堪能でも拒否されるようになった
この年になると、語学が堪能でも開設を明確に拒否される事例が出始めました。英語が流暢に話せ、税関申告書を持参して高額預金をする方でも断られています。
理由は日本の金融当局の圧力ではなく、香港非居住者で短期滞在の外国人旅行者には口座開設すべきではないと銀行側が方針変更をし始めたためだとも言われました。窓口である程度手続きを進めた段階で、後ろから責任者が出てきて「あなたの口座開設は認められません」と言われる。渡航したのに失敗した方が、この時期は多くいらっしゃいました。
当時の開設手続きと必要書類(記録として残します)
ここから先は、開設が可能だった時期の記録です。現在の受付条件はプレミア口座に限られますので、そのまま当てはめないでください。準備するものとして案内されてきたのは次のとおりです。
- パスポート(残存有効期間6ヶ月以上)
- 住所証明(3ヶ月以内の公共料金請求書・住民票・銀行明細など)
- 香港での連絡先が分かる書類(ホテル予約確認書など)
- 初期入金の資金
- 収入証明・職業証明(求められる場合あり)
- マイナンバー(CRS報告に必要)
CRSとは、各国の税務当局が金融口座の情報を自動的に交換する仕組みです。海外に口座を作っても、その存在は日本側に伝わると考えてください。
持参書類としては、国際運転免許証か英字の銀行残高証明も用意しておくよう書いてきました。残高証明には銀行印か担当者のサインが必要です。支店窓口では対応できない人が多いので、銀行の本部インフォメーションに電話で聞くほうが早いです。
窓口に行く時間帯は朝一番をお勧めしてきました。9時開店だったと記憶していますが、10分か15分前に到着して並んでおく。開店直後にブースへ入れれば30分程度で終わります。朝一番を逃すと平日でも混雑し、1時間以上待たされることもありました。午後に香港へ着いてそのまま銀行へ、と考えるなら2、3時間は見ておくべきです。
口座の種別は、日本居住者にはSmartVantage(旧PIA)が最も一般的でした。上位のPremierは月平均残高100万HKD以上の維持、最上位のJadeは総資産100万USD相当以上が条件です。開設目的を「節税」「税金回避」と説明すると、断られたり追加調査を受けたりします。資産分散や海外資産形成といった実態に沿った目的を、自分の言葉で説明できることが大前提でした。
ちなみに毎年12月から翌年2月は、口座開設の相談が集中する時期でした。冬の賞与で資金が動き、長期休暇で渡航しやすいからです。ただし年末年始は現地の銀行も繁忙期で待ち時間が延び、クリスマスや元旦、春節などの祝日は支店が閉まります。
書類の詳細は香港銀行口座開設に必要な書類と注意点、香港以外も含む前提は海外銀行口座開設の注意点にまとめています。
サポート会社の相場と、ぼったくりの見分け方
香港の口座開設サポートには相場があり、知らない人ほど高い金額を払わされてきました。2016年当時は、通訳が窓口に同席するサポート費用でも2,500HKD程度。それ以上を要求してくるところには頼まないほうがいいと、当時から書いています。その後の相場も、HSBC香港やスタンダードチャータード香港の個人口座開設で2,000HKD〜3,500HKD。普通口座だけの開設で3,500HKD以上を請求する会社は、ぼったくりだと思って間違いありません。
問題は、そこに日本側の人間が挟まるケースです。サポート会社を紹介した日本人税理士やFPが中抜きを行い、費用が5,000HKD以上になっている例もあると聞きました。国内のFPやブローカーを経由すると、中間マージンのぶん確実に割高になります。
依頼する前に、最低でも次の3点は確認してください。
- 普通口座の開設基本サポート費用で3,500HKD以上を請求していないか
- 「開設できなかった場合は全額返金」と言いながら、返金を渋る逃げ道を用意していないか
- 頼んでもいない年間サポート契約が勝手に付いていないか
返金保証を謳いながら、いざとなると半額返金で同意させる会社も実際にありました。さらに悪いのは、日本人税理士やFPが現地業者と組み、高額のサポート費用を取ったうえでオフショア金融商品の不利な契約をさせ、手数料を取り続けるパターンです。相場を知っておくだけで、こうした相手は自動的に排除できます。
口座開設と金融商品をセットで勧めてくる人の狙いについては、HSBC口座開設とセットでオフショア長期積立を契約させるブローカー連中にも書きました。
もうひとつ。HSBC香港の場合、現地窓口で開設に失敗すると、しばらく開設ができません。パスポート情報が記録され、更新するまで断られます。力のないサポート会社に依頼して失敗し、泣く泣くスタンダードチャータード香港の口座を開設した方はコアメンバーにもいました。スタチャも悪くはないのですが、使いやすさと選択肢ではHSBC香港が上です。
私が20名ほどのコアメンバーと香港へ行ったときは、事前打ち合わせと英語チェックを全て済ませてから渡航しました。全員がきちんと準備できたので、その時点まで開設成功率は100%を維持できています。運ではなく準備の問題だということです。
口座は開設より維持のほうが難しい
昔から一貫して言ってきたことで、いま口座を持つ方にこそ関係します。海外の銀行口座は年に数回の入出金が必要ですし、預金額が一定金額以下だと毎月の維持手数料を取られます。ネットバンキングも定期的にログインしないといけません。ほとんど利用していないと判断されると突然電話がかかってきて、英語か中国語で対応できないと凍結、閉鎖されるリスクがあります。
私の知り合いにも、何度も注意したにも関わらず入出金と必要な手続きを怠り、何度も凍結された方がいます。こうなると香港まで行って手続きをする必要が出てきます。良い金融商品で資産が増えていても、余計な経費でそれが台無しになります。
最低限やることは、毎月のオンラインバンキングへのログイン、パスポート更新時の登録情報変更、住所変更の届出です。期限切れのまま放置すると取引が制限されます。放置による凍結は実際に相次いでいます。近年の解約や凍結の動きは香港の銀行で口座解約、凍結祭りが始まりますにも書きました。
税金も忘れないでください。利息・配当・売却益・為替差益は確定申告の対象で、国外財産が5,000万円を超えるなら国外財産調書の提出が必要です。ご自身の申告内容は、必ず税理士か税務署に確認してください。
法人口座はほぼ不可能になりました
個人口座がまだ容易だった2016年の時点で、法人口座の開設はほぼ不可能になっていました。日本で既に事業を行い、香港支社を立ち上げて本格的に展開するなら話は別ですが、節税目的の香港法人やマカオ法人では開設できません。
一時はペーパーカンパニーでも容易に開設できましたが、タックスヘイブンを巡る世界の動きと、当時のパナマ文書問題が決定打になりました。実体があって事業として成立している法人以外は、口座を作れなくなったということです。
マカオ法人は当時一世を風靡しましたが、その法人でちゃんとした事業をやっている人がどれだけいるでしょうか。節税目的で海外不動産や投資案件の名義にしているだけではないでしょうか。法人口座の実質所有者にも突然電話がかかってきて、対応できないと閉鎖という事例も実際に起きています。
「海外口座を受取先にすれば税金の心配はない」は誤りです
一部のマネーセミナーでは、オフショア長期積立商品とHSBC香港口座を一緒に案内し、「海外銀行口座を将来の受取先にすれば税金の心配はない」という説明がされることがあります。脱税指南とも取れる発言ですが、これは誤った情報です。
前述のとおり、CRSによって各国の税務当局は口座情報を自動的に共有しています。海外口座を使った税金逃れは成立しません。この説明をする相手は、知らないか、知っていて言っているかのどちらかです。どちらにせよ、そこから何かを契約してはいけません。
為替も冷静に見てください。米国の利上げが決まった当時、ドル円は117円を突破しました。オフショア金融商品の毎月の支払負担は円換算で約20%上がり、既に積み上げた外貨資産の円換算額は20%増えました。為替は一長一短で、円安だから海外へと焦る話ではありません。
日本国内のマネーセミナーで悪徳紹介者の口車に乗せられ、オフショア積立商品を焦って契約するのだけはやめてください。海外銀行口座も金融商品も、必要な人だけが正しい知識を持って判断するものです。毎月の積立金を無理して捻出しないといけない方に、そのどちらも必要ありません。
これから海外口座を持ちたい人が考えるべきこと
資産形成や資産分散を考えると、海外銀行口座を1つ持っておきたいという気持ちは分かります。ただし、高金利を謳う「銀行もどき」は論外です。東南アジアの聞いたこともない銀行の口座開設サービスには気をつけてください。まともな海外銀行口座を持ちたいなら、私は米国一択だと考えています。
そもそも、費用と手間に見合うかを先に考えてください。渡航費、宿泊費、初期入金、毎年の維持コストがかかります。金融資産をある程度持ち、米国株への投資を本格的に行い、海外資産の分散を長期で続ける目的がある。そこまで揃わないなら、日本のネット証券と新NISAで十分です。
「なんとなく持っておきたい」で開設すると、維持できずに凍結され、費用だけが残ります。特に使う予定もないのに周りに流されて口座を作るのはやめましょう。HSBC香港そのものの位置付けは、HSBC香港(香港上海銀行)の口座は安心なのか?日本人が知っておくべき全知識もお読みください。
まとめ|焦らせてくる相手が、いちばん危ない
10年分の記録を並べて思うのは、規制が厳しくなるたびに「今のうちに」と煽る人間が必ず現れたことです。焦って契約した方は、後から見ると不利な条件をつかまされていました。
すでに口座をお持ちの方は、休眠と凍結に気をつけて大事に保有を続けてください。これから海外口座を検討する方は、目的と資金と維持の覚悟が揃っているかを先に確かめること。情報を自分で集め続けるのが難しいなら、信頼できるグループやコミュニティに頼ったほうがいいです。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







