「RL360(ロイヤルロンドン)の積立を解約したいのですが、どうすればいいですか」
この相談が、私のところには何年も途切れることなく届いています。多い時期は毎日3件以上、年末年始の休みだけで10件を超えたこともありました。
私は数千万円を騙された経験があり、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営し、投資副業サロン「コアメンバー」を12年目まで運営してきました。累計500名を超えるメンバーと、その外側から藁をも掴む思いで相談に来られる方の話を、ずっと近くで聞いてきた立場です。
この記事に、解約で差し引かれる3つのコストから、IFA(海外の独立系金融アドバイザー会社)の調べ方、手続き、確定申告までをまとめました。先に立場を明かします。私は解約推進派ではありません。無理なく満期まで同じ金額で積み立てられるなら、それが一番です。なお私は販売も勧誘も、譲渡のお取次のお手伝いも一切行っていません。
なぜRL360の解約相談がこれほど絶えないのか
RL360(旧ロイヤルロンドン)は英国王室属領マン島の保険会社です。月々の積立で海外ファンドに投資する「オフショア積立投資」つまり海外の商品を使った長期積立の代表格として、2010年代前半から中盤に日本人へ数多く勧誘されました。
- 主力商品は「Quantum(クオンタム101)」や「Regular Savings Plan(RSP)」
- 契約期間は15〜25年で、途中変更はできない
- 初期口座期間は契約から18〜24ヶ月分の積立
- 手数料は初期口座に年6%、貯蓄口座に年1.5%、加えてファンドの信託報酬
- 日本の金融庁の認可は受けていない
そしてRL360は2026年5月末で日本人の新規口座受付を停止しました。すでに契約している方に残っているのは、継続するか解約するかの判断だけです。
勧誘の場で語られていた嘘
相談者から聞く話は驚くほど似ています。紹介元はFP(ファイナンシャルプランナー)、保険代理店の経営者、自称コンサルタント。説明の中身はこうです。
- 平均年利8%以上で運用できている
- 25年で契約して最初の5年から10年払えば、あとは停止しても減額しても問題ない
- 積立を止めてもプランの価値には影響がない
- 3年目以降は減額も停止も自由にできる
- 支払期間が5年から選べることは伝えず、最低積立額は月500米ドル以上だと決めつける
- 手作りのエクセルで右肩上がりのグラフを見せる
結果はどうか。私の周りにはRL360を5年以上契約している人がたくさんいますが、支払った額より増えているという話をほとんど聞きません。年末年始に相談をいただいた方々も、2013年から2016年に契約して積立を継続していたにもかかわらず全員がマイナス運用。5年目に300万円になるはずが200万円にも届かない、という相談も珍しくありません。2014年以降は世界中の株価が上がっていた時期ですから、原因は相場ではなく手数料の高さと運用成績の不安定さです。
RL360積立あるある
・契約時の紹介者と連絡が取れない
・解約したい旨を伝えた途端に連絡が取れなくなった
・自分のIFAがどこか分からない
・家族が契約しているので解約させたい
・紹介者の説明が嘘だらけだった
解約したいと伝えたら「契約後2年以内は解約できないと言ったはずだ」「多くの人に迷惑がかかるのが分からないのか」と逆に怒られた、という相談もありました。24ヶ月以内に解約されると自分に入るはずの紹介報酬が消えるため、必死で止めにかかるのです。3年を超えていれば痛みがないので、あっさり教えてくれることもあります。早期解約で困るのは契約者ではなく紹介者だけです。
「解約手数料を請求される」は誤解。差し引かれる3つのコスト
相談で多いのが「いま解約したら解約手数料が高いと言われた」というもの。はっきり書きます。解約時に財布から別途支払う手数料はありません。コストは支払った積立金の範囲内で収まり、追加請求はないのです。それでも悪質な紹介者は「手数料がかかるぞ」と脅します。解約されると自分の報酬が消えるからです。
その上で、返戻金から実際に差し引かれるコストは3つあります。
コスト1 初期口座の解約ペナルティ
RL360には「初期口座(Initial Account)」と「貯蓄口座(Savings Account)」があり、最初の18〜24ヶ月分が入る初期口座は契約期間中ずっと凍結されます。途中解約では経過年数に応じた残存価値しか戻りません。3年目なら返戻率0〜20%が一般的でほぼ没収、10年で40〜60%、20年以上でようやく元本相当まで回復します。
コスト2 早期解約手数料(Early Withdrawal Charge)
貯蓄口座からの引き出しにも経過年数に応じた手数料がかかります。クオンタム101の25年契約の目安です。
| 経過年数 | 貯蓄口座の早期解約手数料率 |
|---|---|
| 1〜2年 | 残高の80〜90% |
| 3〜5年 | 60〜70% |
| 6〜10年 | 30〜50% |
| 11〜15年 | 10〜25% |
| 16〜20年 | 0〜5% |
目安なので、正確な数値はRL360から届く個別のステートメントかIFAで確認してください。以前「いま解約すると80%ほど手数料を取られると言われたが減らせないか」という質問をいただきましたが、残存期間に応じて所定の手数料が決まっているので従うしかありません。交渉で下がるものではないのです。
コスト3 為替と送金にかかるお金
解約金は米ドル建てで着金します。海外銀行からの送金手数料(30〜50米ドル程度)、日本側の受取手数料(4,000〜7,500円程度)、為替スプレッド(1ドルあたり1〜3円)、中継銀行手数料(15〜30米ドル程度)がかかり、3万ドルなら6〜10万円程度が上乗せされるイメージ。受取先でも差が出ますので解約返戻金はどこで受け取るべきかもお読みください。
経過年数別の返戻率と、解約すべき人・続けるべき人
月額500米ドル(年6,000米ドル)を25年契約した場合の目安です。ファンドの成績を年5〜7%、初期口座の手数料を年6%、貯蓄口座を年1.5%として試算した概算です。
| 経過年数 | 積立総額 | 返戻金(概算) | 返戻率 |
|---|---|---|---|
| 2年 | 12,000ドル | 0〜2,000ドル | 0〜17% |
| 5年 | 30,000ドル | 12,000〜18,000ドル | 40〜60% |
| 10年 | 60,000ドル | 48,000〜54,000ドル | 80〜90% |
| 15年 | 90,000ドル | 90,000〜110,000ドル | 100〜122% |
| 20年 | 120,000ドル | 130,000〜160,000ドル | 108〜133% |
| 25年(満期) | 150,000ドル | 175,000〜230,000ドル | 117〜153% |
実際の返戻金はファンド、為替、手数料率で変動しますが、5年未満の解約は損失が大きく、10年以上で元本近くまで回復し、15年以上なら利益が出る可能性があるという傾向は押さえてください。
解約を検討すべき人(3つ以上該当)
- 契約から15年以上経過している(返戻率が100%に近い)
- IFAと連絡が取れず、ファンドの入れ替えなどのサポートが受けられない
- 積立を止めたまま、初期口座の手数料だけを負担し続けている
- ファンドの成績が年5%未満で5年以上推移している
- NISAやiDeCoの枠が残っている、または月々の積立が家計の負担になっている
- 今後20年以上ドル建てで持ち続ける確信がない
継続を検討すべき人(3つ以上該当)
- 契約から5年未満(早期解約のペナルティが大きすぎる)、または満期まで残り5年以内
- 月々の積立が家計の負担なく続けられる
- ドル建て資産の長期保有や、ドル建て生命保険としての機能に納得している
- IFAと連絡が取れており、ファンドの入れ替えも機能している
特に注意してほしいのが、積立を止めたまま放置している方です。以前、停止して2年分の元金しか残っておらず「今後はそれすら無くなるのか」と聞かれました。私の答えは、止めているなら資産は減り続けるので、損切りだと思って解約するのが最善。惰性で持ち続けても増えないなら意味がありません。
解約の前に検討したい選択肢
- Paid-Up(払済):積立をやめ、既存の残高だけで運用を続ける方法。初期口座の手数料(年6%)はかかり続けますが積立負担はゼロ。5年以上経過した契約なら有効です
- 減額:月々の積立を50〜70%減らす方法。最低月額(通常100〜200米ドル)をクリアすれば可能です
- 積立停止(Contribution Holiday):一時的に止める制度。ただし初期口座期間中の停止は契約失効のリスクがあり、停止中も手数料は引かれ続けます
IFA移管という選択肢
紹介者が失踪・廃業した場合でも、解約の前にIFA移管を検討する価値があります。担当会社を別の正規IFAに切り替えるだけで、移管そのものは無料、解約のペナルティもかかりません。解約せずにファンドを組み替えられ、客観的な助言も受けられます。初期口座のロック期間中なら、解約より損失が少ないケースが多いです。
手順は、マン島の金融当局に登録されたIFAを探し、移管申請書(Letter of Authority もしくは Agency Transfer Form)に署名してRL360本社へ送るだけ。通常2〜4週間で完了します。詳しくはIFA移管のベストタイミングを参考にしてください。
途中譲渡は期待しない方がいい
「初期口座期間だけは無理してでも終わらせるので、その後に譲渡先を探してもらえませんか」という相談も、以前は数多くいただきました。正直に申し上げます。RL360は長期積立商品の中でも不人気で、買いたいと手を挙げる方はほぼ現れません。当時、譲渡先を探すお手伝いを2〜3件したことがありますが、ブログに載せても周囲に声をかけても誰ひとり手が挙がらず、フレンズプロビデントやインベスターズトラストの途中譲渡とは反響が雲泥の差でした。
しかも、初期口座期間の2年だけ払って休止し放置した場合と、期間中に解約した場合とで、失う金額は基本的に変わりません。満了で喜ぶのは契約者ではなく、不利なプランを紹介した人だけです。なお現在、私は譲渡のお取次のお手伝いは一切行っていません。
解約の第一歩は、自分のIFAを知ること
解約相談で最初に確認するのは、いつも「あなたのIFAはどこですか」です。そして相談者のほぼ全員が答えられません。自分のお金を運用管理している先を知らない、非常に危険な状態です。
- IFAは個人ではなく法人で、香港やシンガポールなどに拠点を置いている
- 現地の金融・保険当局の認可を受け、認可番号を持っている。番号のない会社はいわゆる「なんちゃってIFA」でモグリの業者
- 日本国内にIFAは存在しない。国内の個人や法人がIFAを名乗っていたら、その時点で疑うべき
契約時に手続きをしてくれた日本の業者や個人をIFAだと思い込んでいる方が多いのですが、まったくの別物です。紹介者は契約させるまでが仕事で、解約のサポートは何もしてくれません。契約者がIFAを知らないのは勉強不足だからではなく、悪質な紹介者が早期解約を恐れて教えていないからです。よく名前の挙がるIFAはRL360の解約相談で名前の出るIFAでも触れています。
調べ方は、契約時の書類一式、契約前後のメール、RL360から届くステートメント、この3つを確認するだけ。IFAさえ分かれば解約に英語は不要で、日本語で進められることがほとんどです。どうしても分からない場合は、RL360本社(csc@rl360.com)のClient Services宛にポリシー番号を明記して英語で連絡することもできます。
解約手続きの流れと、よくある失敗
日本の保険のように電話一本では終わりませんが、手順自体は複雑ではありません。
- Step1 書類を揃える。解約申請書(Surrender Form。RL360公式サイトから入手)、本人確認書類、直近3ヶ月以内の住所証明、受取口座情報(銀行名・SWIFTコード・支店番号)
- Step2 IFA経由で申請。連絡がつかなければRL360本社へ直接
- Step3 郵送またはメールで提出。公証役場での公証が必要になるケースもあります
- Step4 受理から通常4〜8週間で完了。日本の口座に米ドルで着金し、円への両替は受取銀行で行います
- Step5 翌年3月の確定申告に備える
なお連名契約(Joint Policy)は両者の署名と本人確認書類が必要で、片方だけでは解約できません。RL360から他のオフショア商品への移管も原則できず、一度解約して現金化してから新しい契約を結ぶ形になります。
よくある失敗も挙げておきます。
- 「もう少し続ければ手数料が戻る」という紹介者の説明を鵜呑みにして継続する
- 初期口座期間中(最初の2年)に積立を止め、契約が失効して初期口座を失う
- 円高のタイミングで解約し、円に換えた受取額を大きく減らす
- 確定申告を忘れる。海外送金は一定額以上で国外送金等調書により税務署に伝わります
- 解約金を目的なく普通預金に置いたままにする
解約代行を名乗る業者に注意
こういう業者には依頼しないでください
・「解約前に着手金を払ってください」と言う。支払った途端に連絡が来なくなる
・「返戻金の何%かを手数料として先払い」と言う。法外な金額を請求される
・「弁護士なしで法的手続きが取れる」と言う。これは虚偽
・「被害者グループに参加すれば回収できる」と誘う。情報収集が目的のことがある
一度騙された人が、取り返そうとしてもう一度騙される。この二次被害を私は何度も見てきました。
合法的に解約を代行できるのは、弁護士または正規のIFAだけです。費用の目安は弁護士なら返戻金の5〜10%、IFAなら固定料金。弁護士を探すなら法テラス(0570-078374)か弁護士会の紹介を通してください。
そもそも代行に頼らなくても解約はできます。「解約手続きをサポートします」と高額な手数料を請求する業者は以前からいて、行政書士や司法書士を名乗る先で20万円以上を請求されたという話も聞きますが、知識と手順さえ分かれば半日で解決するのが実態です。詳しくはRL360など海外長期積立を解約したい人へと、私自身の契約経験を書いたオフショア積立はやめたほうがいいのかもどうぞ。
為替と、確定申告の考え方
RL360は米ドル建てなので、返戻金は米ドルで受け取り、日本の口座で円に換えます。この記事を更新した時点の相場は1ドル142〜150円の水準、歴史的に見れば円安局面です。
返戻金が10万ドルなら、142円で1,420万円、150円で1,500万円と80万円の差。仮に110円まで円高が進めば1,100万円ですから、310万円から400万円もの差になります。ドル高の局面では回収額が比較的有利ですが、為替は誰にも読めません。現在のレートで納得できるなら、急ぐ必要も待つ必要もありません。
税務上、解約金は「一時所得」または「雑所得」です。長期契約で一時金としてまとめて受け取る場合は一時所得となり、50万円の特別控除が使えて課税対象は控除後の2分の1。年金形式で分割受取なら雑所得で、特別控除はなく全額が課税対象です。
たとえば返戻金800万円、払込総額720万円なら、差益80万円から特別控除50万円を引いて一時所得30万円、その2分の1の15万円が課税対象。税率20〜30%なら追加の税負担は3〜4万円程度という概算です。元本割れなら課税されませんが、その損失を他の所得と損益通算することもできません。税制は複雑で個別性が高いので、必ず税理士または税務署に確認してください。
解約したお金は、次にどこへ置くか
出口を決めずに手続きを始めると、せっかくのお金が目的なく普通預金で眠ります。一般的な選択肢は次のとおりです。
- 新NISA:年360万円、生涯1,800万円まで非課税。米国S&P500連動のインデックス投信を軸にすれば手数料はほぼゼロに近い水準
- iDeCo:掛金の全額が所得控除の対象。60歳まで引き出せない拘束はあります
- 米国社債や外債:日本の証券会社で購入でき、複雑な手数料構造がなく換金しやすい
- 国内の一時払い外貨建て生命保険:保険の機能を残しつつ、金融庁の監督下にある会社で保有できます
将来のための積立が目的なら、日本のNISAで十分というのが私の考えです。手数料も、解約のしやすさも、情報の得やすさも比べものになりません。詳しくはRL360と新NISAの比較とロイヤルロンドン積立の高すぎる手数料をどうぞ。なお投資の判断は自己責任で、ここに書いた運用先も成果を保証するものではありません。
まとめ
- 解約時に財布から別途支払う手数料は無い。コストは払った積立金の範囲内
- 5年未満はペナルティが大きく不利。減額やPaid-Upを先に検討する
- 10年以上なら解約も合理的。15年以上なら解約が有利なケースが多い
- 積立を止めたまま放置している契約が、最も先送りしてはいけない状態
- 解約の第一歩は自分のIFAを知ること。分かれば英語も紹介者も不要
- 解約代行を名乗る業者には近づかない。二次被害が本当に多い
- 着金したら税務処理を忘れない。判断は税理士か税務署へ
最後にもう一度。悪いのは保険会社でも積立という仕組みでもなく、重要な説明を省き、ありもしない利回りを並べて契約させた人たちです。その口車に乗らないために必要なのは、自分でリテラシーを上げることと、信頼できる投資仲間を持つことの2つだけ。相談できる相手がいれば、契約前に一度立ち止まれます。
本記事は執筆時点の情報に基づいています。商品条件・手数料・解約ルール・税制は変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトや信頼できるIFA、税理士でご確認ください。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







