「宝くじは愚か者に課せられる税金」という言葉を聞いたことがありますか。
年末になると売り場に長い行列ができます。あの列に並んでいる人が愚かだと言いたいのではありません。ただ、あの列の意味を知らずに並んでいるのか、知った上で並んでいるのかで、その人のお金との付き合い方はまるで違うものになります。
私は投資家のJACKと申します。数千万円を騙された経験があり、大阪府知事の認可を受けた不動産会社を20年経営してきました。副業と投資の世界で、本物と偽物を見分ける物差しをお伝えする立場です。
その私は、ある一冊の本を読んでから宝くじを買うのをピタリとやめました。この記事では、なぜ宝くじが「愚か者の税金」と呼ばれるのかを数字と仕組みの両面から整理し、その上で、私が宝くじを買う人を少しも否定していない理由までお話しします。
「愚か者に課せられた税金」という言葉の出どころ
この言葉に私が出会ったのは、橘玲さんの『臆病者のための億万長者入門』という本の中でした。マネーリテラシー、つまりお金についての知識や判断力を上げたい方には、私がずっとお勧めしている一冊です。
その本の中で、宝くじは「愚か者に課せられた税金」と一刀両断されています。かなり強い言い方ですが、その根拠として書かれていた数字が、当時の私には衝撃的でした。
私はそれを読んで以降、宝くじを一枚も買っていません。ここ10年以上、売り場の前を通っても財布を出さなくなりました。
1等が当たる確率は1000万分の1という現実
まず、宝くじの当選確率がどれくらいのものなのかを整理します。同書に書かれていた内容はこうです。
- ジャンボ宝くじは1ユニットが1000万枚で、1等5億円は1ユニットに1枚、前後賞は2枚
- ほとんどの人は連番で買うが、1等と前後賞はセットではない
- したがって1等が当たる確率は1000万分の1
1000万分の1と言われても、大きすぎてピンとこないと思います。そこで同書は交通事故と比較していました。
- 日本の交通事故死者数は年々減少しており、2013年は4373人
- これを人口比で見ると、1年間に交通事故で死亡するのは3万人に1人
- 宝くじで1等が当たる確率は、交通事故で死亡する確率の300分の1以下
数字は当時のものですが、桁の違いは今も変わりません。多くの人が「まさか自分が事故で死ぬとは思っていない」一方で、「もしかしたら自分が1等に当たるかもしれない」と思っています。実際には、当たるほうが300倍以上あり得ない話なのです。
もっと現実的な話をすると、一生涯で3万円分の宝くじを買い続けても、99.99%の人は1等に当たりません。しかも多くの方の購入枚数は1回あたり10枚から30枚程度でしょう。確率論で言えば、買い続けたところで1等どころか高額当選にもかすりません。
なぜ国家の独占事業なのか。効率のいい「ぼったくり」の正体
同書には、宝くじが国家の独占事業になっている理由も書かれていました。それが、きわめて効率のいい「ぼったくり」だから、というものです。
仕組みは単純です。宝くじは購入代金の半分以上が税金として徴収され、残りの半分を購入者みんなで配当として分け合っています。つまり、買った瞬間に半分が消える設計になっているということです。
ここが宝くじの本質です。当たるか当たらないかという運の話ではなく、参加した時点で期待値、つまり平均的に手元に戻ってくる金額が半分以下に決まっている。それが「効率のいいぼったくり」という表現の意味です。
そして著者は、こうした仕組みを理解できない人が世の中にものすごくたくさんいる、と書いています。「買っていればいつか当たるかもしれない」と本気で思っている人はマネーリテラシーが欠如している、と遠回しに指摘しているわけです。
この構造、投資詐欺とほとんど同じです
私がこの話を大事だと思っているのは、宝くじの構造が、私がずっと追いかけてきた詐欺案件の構造とそっくりだからです。
1口1万円の詐欺案件にお金を出させて、詐欺師がまず5千円を自分の懐に入れ、残りの5千円を配当に回す。集めたお金の半分が主催者に抜かれ、残り半分を出資者同士で分け合う。理屈としては、宝くじとほとんど同じだと私は思っています。
違うのは、胴元が国か詐欺師かという一点だけです。
宝くじは抜かれる割合が最初から公表されていて、抜いた分は公共のために使われます。詐欺案件は、抜かれていること自体が隠されていて、最後は集金が止まった瞬間に破綻します。
だからこそ私は、「配当の原資がどこから来ているのか」を必ず確認するようにお伝えしています。誰かが払ったお金を、そのまま別の誰かに配っているだけの仕組みなら、それは投資ではありません。この見方ができるかどうかで、判断は一瞬で変わります。詳しくはマネーリテラシー・ファイナンシャルリテラシーが普通以上であれば1秒で判断できるにも書いています。
私が宝くじを買わないもう一つの理由
確率の悪いギャンブルだから、というのが一つ目の理由です。そしてもう一つ、私は「一攫千金」という言葉があまり好きではありません。
努力をすっ飛ばして賞金を得ることに、何の魅力も感じないのです。綺麗事ではなく、心からそう思っています。
もちろん「1億円あげる」と言われれば喜んでいただきます。ただ、自分からお金を出して抽選券を買おうとは思わない、それだけの話です。この感覚は、お金の増やし方そのものについての考え方につながっています。関心のある方はお金持ちになれる人・なれない人の決定的な差も読んでみてください。
それでも私は「別にええやん」と思っています
ここまで読むと、私が宝くじを買う人を見下していると思われるかもしれません。まったく違います。
「宝くじ当選を真剣に願って購入する人はアホである」という論調に対して、私は「別にええやん」くらいにしか思いません。自分のお金をどう使おうと自分の勝手であって、当選確率や仕組みを理解した上で買うのであれば、それでいいじゃないですか。
外野が何と言おうと、自分がこうだ、こうしたいんだと思ったら、その通りやってみるべきだと私は考えています。あなたは人の人生を生きているのではなく、自分の人生を生きているのですから。
私自身、街を歩いていてフラッと買うことがあるかもしれません。買ったとしても抽選券3,000円は単なる割増の税金になるでしょうが、お国のためなら喜んで払いますよ。
お小遣いの範囲で「楽しみを買う」という意味なら、宝くじには十分な価値があると思う方もいるでしょう。それはそれで意味のあることですし、私は買う行為自体を否定しているわけではありません。あくまで私自身が、マネーリテラシーを上げる修行として自分のマインドセットを明確に決めているに過ぎないのです。
年に数回の楽しみを数千円で買っている、と割り切れるなら、それでいい。お金の使い方については消費や浪費も投資家目線で。売却価値の高いものを買うようにしようという考え方も併せて持っておくと、財布のバランスが取りやすくなります。
本当に怖いのは宝くじではなく、桁の大きい判断のほう
私が声を大にして言いたいのはここからです。
宝くじで失うのは数千円です。ところが、多くの方が人生で迫られるのは、もっと桁の大きい判断のほうです。
- 家を買うのが正しいのか、賃貸のままが正しいのか
- RL360°(ロイヤルロンドン)のような海外の積立商品を25年契約することは、本当に自分にとって正しいのか
持ち家か賃貸かは、住んでいる地域や不動産の事情によって答えが変わります。ただ、都心部にお住まいであれば、経済合理性で考えれば正しい答えは出てきます。25年という長期の積立契約についても、その場の雰囲気に流されず少し調べれば、自分に合うかどうかは分かるはずです。
今はインターネット社会ですから、ある程度のネットリテラシーがあれば正しい情報にたどり着くこと自体は誰にでもできます。問題はその先で、目の前の情報が本当に正しいのか間違っているのかは、結局あなた自身のリテラシーと判断力が問われます。
宝くじは、外したところで数千円で済みます。家や長期契約の商品は、そうはいきません。「愚か者の税金」を本気で警戒すべきなのは、売り場ではなく、契約書にサインをするあの瞬間のほうなのです。学び方そのものを見直したい方は投資スクールに何十万円も払う前に読んでほしいも参考にしてください。
今日からできる、判断軸の作り方
難しいことは必要ありません。お金を出す前に、次の3つを自分に問うだけです。
- 抜かれる割合はいくらか。宝くじは半分以上です。目の前の商品や案件は、いくら抜かれてから自分に戻ってくるのかを確認する
- お金の出どころはどこか。配当が、後から入ってきた人のお金で払われていないかを確認する
- 失っても生活が壊れない金額か。数千円なら楽しみで済み、数百万円なら人生が変わる
この3つを通せば、宝くじも詐欺案件も同じ物差しで測れます。仕組みを知った上で、楽しみとして数千円を使うのは自由です。仕組みを知らないまま、大きなお金を人に預けてしまうことだけは避けてください。
お金との向き合い方そのものを考え直したい方は、新年度に考える「お金の自由」の本質も併せてどうぞ。
まとめ
宝くじが「愚か者に課せられた税金」と呼ばれる理由は、感情論ではなく数字と仕組みにあります。1等が当たる確率は1000万分の1で、交通事故で死亡する確率の300分の1以下。購入代金の半分以上は税金として抜かれ、残りを購入者で分け合う。一生涯で3万円分を買い続けても、99.99%の人は1等に当たりません。
それでも、仕組みを理解した上で年に数回の楽しみとして数千円を使うのであれば、私は「別にええやん」と思います。人の人生ではなく、自分の人生を生きているのですから。
大事なのは、宝くじを買うかどうかではありません。抜かれる割合と、お金の出どころを自分で確かめる癖をつけることです。その癖がある人は、売り場でも契約書の前でも、同じように冷静でいられます。私が数千万円を失ってから身につけたのは、結局のところこの一点でした。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







