「WordPressはもうオワコン」
「これからは新しい仕組みに乗り換えないと危険」
そんな記事を読んで、不安になってこのページにたどり着いた方へ。
先に結論をお伝えします。
あなたのサイトを今すぐ作り直す必要は、ほぼありません。
そして、この記事で本当にお伝えしたいのは、WordPressの話だけではありません。
「オワコン」と誰かが騒いでいるとき、その裏で何が起きているのか。
お金と情報の世界で12年間、偽物を見続けてきた立場から、その構造をお話しします。
なぜ「オワコン」記事は量産されるのか
まず、大前提から。
「◯◯はオワコン」という記事の多くは、読者への情報提供のためではなく、書いた人の商品を売るために存在しています。
WordPressがオワコンだと主張する記事の書き手を、よく見てください。
サイト制作会社。乗り換え支援サービス。Web制作スクール。新しい技術の教材販売者。
つまり、あなたが不安になって「乗り換えたい」と思った瞬間に、儲かる人たちです。
これをポジショントークと言います。
嘘とまでは言いません。ただ、自分の立場(ポジション)に都合のいい事実だけを並べた、広告に近い文章だということです。
「オワコン」という言葉は、検索でクリックされやすく、読者の不安も煽れる。
売る側にとって、これほど便利な言葉はないのです。
事実確認①:WordPressは、いまも世界の4割です
では、事実を数えましょう。
WordPressは、現在も世界のWebサイトのおよそ4割で使われています。
2位以下のどのCMSにも、大差をつけたままの圧倒的なシェアです。
そして、知っておいてほしいことがひとつ。
「WordPressはオワコン」という記事は、10年以上前から毎年書かれ続けています。
毎年オワコンと言われながら、毎年シェア1位。
これが実際の数字です。
もちろん、シェアが大きいから優れている、とは限りません。
ただ、「もう誰も使っていない」かのような印象を与える記事は、この時点で事実と違うということです。
事実確認②:「セキュリティが脆弱」の正体
次に、セキュリティの話。
「WordPressは危ない」という主張には、実は正しい部分と、ごまかしの部分が混ざっています。
正しい部分。WordPressを狙った攻撃が多いのは事実です。世界の4割で使われているのだから、攻撃者にとっても一番効率のいい標的になります。
ごまかしの部分。その脆弱性の大半は、WordPress本体ではなくプラグイン(後付けの拡張機能)から生まれています。
セキュリティ業界の調査では、脆弱性のおよそ96%がプラグイン由来とされています。
つまり正確に言うと、こうなります。
危ないのはWordPressではなく、プラグインを入れすぎて放置しているサイトです。
対策は、昔から変わらず4つだけ。
・本体・テーマ・プラグインの更新を当てる
・プラグインは必要最小限にする
・バックアップを持つ
・パスワードを強くして、使い回さない
これは家の防犯と同じです。
「日本の家はオワコン、引っ越せ」ではなく、「鍵をかけましょう」の話なのです。
事実確認③:「AIと相性が悪い」は、実態と逆です
最近の「オワコン」記事には、新しい理由が加わりました。
「WordPressはAI時代に取り残される」というものです。
これは、私のサイトが生きた反証になります。
このブログ(jack-invest.com)はWordPressで動いていますが、記事の投稿も、画像のアップロードも、過去記事のリライトも、トップページの修正も、大部分をAIが自動で実行しています。
なぜそんなことができるのか。
WordPressには、外部のプログラムから操作するための入口(API)が昔から整備されていて、世界中で使い込まれてきたからです。
道具とAIの相性を決めるのは、新しさではなく、この「入口の枯れ具合」です。
AI時代に取り残されるどころか、WordPressはAIに一番仕事を頼みやすいCMSのひとつ
というのが、毎日AIと二人三脚でサイトを運営している私の実感です。
話題の「EmDash」の現在地
2026年に入って、「これからはCloudflareのEmDashが主流」という記事も見かけるようになりました。
EmDash自体は、実在する真面目なプロジェクトです。
大手インターネット企業のCloudflareが公開した新しいCMSで、WordPressの弱点だったプラグインの安全性を設計から見直す、という思想は本物です。
ただし、現在地はこうです。
・バージョンは0.1.0の開発者向けプレビュー版
・提供元自身が「本番サイトでの利用は非推奨」としている段階
・テーマ・プラグイン・ノウハウ・使える人材は、WordPressと比較にならないほど少ない
つまり「主流になってきている」は、現時点でははっきり誇張です。
誤解しないでください。EmDashが悪いのではありません。
生まれたばかりの実験段階のものを「もう主流」と書いて、不安と乗り換えを煽る記事の側に問題があるのです。
数年後に成熟したら、そのとき冷静に検討すればいい。それだけの話です。
「オワコン」記事が読者を動かす3段構造
ここからが本題です。
この手の記事には、共通の台本があります。

①不安を煽る
「あなたのサイトは時代遅れで危険」「このままでは損をする」
②権威で信じさせる
「海外では常識」「大手も採用」「専門家はみんな移行している」
③解決策として、自分の商品を出す
「今なら乗り換えサポートを受付中」「この講座で学べます」
この3段構造、どこかで見覚えがありませんか。
投資詐欺の勧誘と、まったく同じ台本です。
「円は紙くずになる」と不安を煽り、「富裕層はみんなやっている」と権威づけて、怪しい海外商品に誘導する。
言葉をWebに置き換えただけで、人を動かす仕組みは一緒なのです。
不安の出口に、書いた人の商品が待っている。
そういう文章は、情報ではなく広告として読む。これが大原則です。
ポジショントークを見抜く4つのチェック
では、具体的な見抜き方です。
怪しい記事に出会ったら、この4つを確認してください。

①書き手の「売り物」を確認する
プロフィールと、記事末尾のリンク先を見る。乗り換えサービスやスクールが待っていたら、その記事は営業資料として読み直す。
②「今すぐ」と急かしていないか
技術の移り変わりは年単位で起きます。今日決めさせようとする理由は、読者側には存在しません。
③数字に出典があるか
「みんな移行している」「もう誰も使っていない」に、確認できるデータが添えられているか。出典のない「みんな」は、だいたい存在しません。
④費用とリスクも書いてあるか
乗り換えには、実費も、手間も、検索順位が崩れる危険もあります。良いことしか書いていない記事は、片面だけの広告です。
4つ確認するまで、財布とサイトは動かさない。
これだけで、この種の記事に振り回されることは、ほぼなくなります。
公平に言うと、乗り換えが正解の人もいます
番人として、逆側も公平に書いておきます。
新しくWebサービスやアプリを開発するなら、最初からReactなどの新しい技術で作るのは、いまや普通の選択です。
エンジニアを多く抱える大規模メディアが、表示速度のために特殊な構成へ移行するのも、合理的な判断としてあり得ます。
つまり、道具の優劣ではなく用途の問題なのです。
ただ、この記事を読んでいる方の多くは、ブログやアフィリエイトサイトを運営する個人や中小企業のはずです。
その場合、積み上げた記事・検索順位・広告収益の仕組みを壊してまで移行するメリットは、まずありません。
かかるのは数十万円から百万円単位の費用と、順位が崩れるリスクだけです。
「困っていないのに乗り換える」は、投資でもWebでも、損をする人の典型パターンです。
この構造は、お金の世界で毎日使われています
最後に、この話をWordPressから広げます。
「オワコン」の中身を入れ替えてみてください。
「銀行預金はオワコン」と言う人は、投資商品を売っていないか。
「日本はオワコン」と言う人は、海外の保険や不動産を売っていないか。
「会社員はオワコン」と言う人は、高額な副業スクールを売っていないか。
全部、同じ3段構造です。
不安を煽る言葉に出会ったら、事実を確認する前に、まず出口に置かれている商品を確認する。
不安を煽る人ではなく、事実を数える人の話を聞く。
これが、お金でもWebでも、あなたの資産を守る基本動作です。
「無料診断」という入口にも、気をつける
オワコン記事とセットでよく使われる手口を、もうひとつだけ紹介しておきます。
「あなたのサイトを無料で診断します」という入口です。
診断結果には、必ず問題点がずらりと並びます。
表示速度が遅い。セキュリティに不安がある。デザインが古い。スマホ対応が不十分。
そして最後に、こう続きます。
「これらを解決するリニューアルプランを、特別価格でご用意しました」
お気づきでしょうか。
診断する人と、解決策を売る人が、同じなのです。
これでは、問題が「見つかる」のは最初から決まっています。
健康診断をした医者が、そのまま自分の薬を売りつけてくるようなものです。
無料診断そのものは悪ではありません。
ただ、診断結果を見せられたら、その会社とは利害関係のない別の詳しい人に、同じ診断結果を見てもらうこと。
投資で言う「セカンドオピニオン」です。
無料の入口ほど、出口の値段を確かめてから入る。これも共通の防御策です。
FAQ|よくある質問
Q1. それでもセキュリティが心配です。
A. 更新を当てる、プラグインを絞る、バックアップを取る、パスワードを強くする。この4つができていれば、個人サイトとしては十分な水準です。逆に、どのCMSに乗り換えても、この4つを怠れば危険です。
Q2. 「大手企業も脱WordPressしている」と書いてありました。
A. 個別の事例は事実のこともあります。ただ、大手には専属のエンジニアチームがいて、事情も予算も個人サイトとは別世界です。「大手がやったから自分も」は、判断の根拠になりません。
Q3. EmDashや新しい技術に興味があります。触るのもダメですか。
A. 勉強や実験として触るのは、むしろ良いことです。ダメなのは、収益が出ている本番サイトを、実験段階の技術に「不安から」移すことだけです。
Q4. 制作会社から「そろそろリニューアルしないと危険」と営業が来ました。
A. この記事の4つのチェックをそのまま使ってください。特に「何が危険なのか」の具体的な説明と、見積もりの内訳を求めること。急かされたら、その場では決めない。これは投資勧誘への対応と同じです。
Q5. 結局、サイト運営者は何を学べばいいですか。
A. 道具の乗り換えより、記事の質と、読者を集める導線と、この記事のような「情報の見抜き方」です。道具は困ってから替えても、まったく遅くありません。
まとめ|「オワコン」と聞いたら、出口の商品を見る
・WordPressは現在も世界シェア約4割。「オワコン」は10年以上続く定番の煽り文句です
・脆弱性の大半はプラグイン由来。基本の4つの対策で管理できます
・AIとの相性はむしろ良好。私のサイトはAIが日々自動運営しています
・EmDashは実在するが開発初期段階。「主流」は誇張です
・不安を煽る記事は、①不安②権威③自社商品の3段構造。投資詐欺と同じ台本です
技術の話に見えて、これはお金の話です。
不安になったときこそ、一呼吸おいて、事実を数える。
そして、その不安の出口で誰が儲かるのかを見る。
この習慣は、あなたのサイトだけでなく、あなたの資産と家族を守り続けてくれます。
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出典:Cloudflare公式ブログ・EmDash発表記事/Search Engine Journal・EmDashとWordPressの比較分析/W3Techs・CMSシェア統計







