2025年4月2日、トランプ大統領が「相互関税」を宣言してから1年が経ちました。
この1年で、世界経済の構図は大きく変わりました。そして2026年、私たちの生活にもその影響が直撃しています。
食品は2,798品目が値上げ、電気・ガス代の補助金は終了、国民年金保険料は引き上げ。第一生命経済研究所の試算では、4人家族で年間約8.9万円(月額約7,400円)の負担増とされています。
投資家JACKとして、そして大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、この状況をどう見ているのか、そして個人が今すぐ取るべき生活防衛策を、順番まで含めてまとめます。
結論|2026年の値上げは「一時的な高値」ではなく前提の変化
先に結論から書きます。
2026年の値上げは、天候不順や一時的な品薄で起きているものではありません。関税による貿易構造の変化、円安、そして補助金という下駄が外れたこと。この3つが重なって起きています。
つまり「しばらく我慢すれば元に戻る」性質のものではない、というのが私の見方です。だとすれば、我慢という対策は効きません。家計の構造そのものを組み替える必要があります。
そして組み替えには順番があります。
- 第1に、固定費を棚卸しする(確実に効き、今日から始められる)
- 第2に、収入の柱を増やす(削減には限界があるため)
- 第3に、円だけで持たない形に資産を組み替える(時間がかかる)
この順番を逆にする人がとても多い。値上げのニュースに焦って、いきなり儲け話に飛びつく。私が20年見てきた失敗のほとんどが、この順番の間違いから始まっています。
トランプ関税から1年、何が起き、何が変わったのか
2025年4月9日、トランプ大統領は国際緊急経済権限法に基づいて相互関税を発動しました。
日本に対しては当初24%の関税が課せられ、その後の交渉で15%まで引き下げられたものの、日本の輸出企業は大きな打撃を受けました。自動車大手7社だけで関税負担額は約1兆4,000億円に達しています。
一方で、半導体・AI分野に強い台湾は対米輸出額を8割も増加させ、日本や韓国を抜く結果となりました。
つまりこの1年で、「関税に強い産業構造を持つ国」と「そうでない国」の明暗がはっきり分かれたのです。
最高裁「違憲」判決と26兆円還付の行方
2026年2月20日、米連邦最高裁は歴史的な判決を下しました。
トランプ大統領がIEEPAに基づいて課した相互関税は「違憲」であるという判断です。米国憲法では関税を課す権限は連邦議会にあると定められており、大統領が独断で関税を決めることは権限の逸脱だとされたのです。
これにより、2月24日以降は相互関税の徴収が停止されました。
問題は、これまでに徴収された約1,660億ドル(約26兆円)の還付です。最高裁は還付方法について明確な判断を示しておらず、企業は専用の還付口座を開設するなど対応に追われています。
リコーなどの日本企業も還付対象となっており、今後の動向は日本の株式市場にも影響を与える可能性があります。
ここで家計の話に引き戻しておきます。関税の徴収が止まったからといって、すでに上がった小売価格がすぐ下がるわけではありません。値札は上げるときは早く、下げるときは遅い。だから「判決が出たからもう大丈夫」と考えるのは危険です。
2026年の値上げをカテゴリ別に整理する
関税問題だけではありません。2026年、私たちの家計に直接響く値上げが同時に来ています。どこが、どれだけ上がったのかを一枚に整理しておきます。
| カテゴリ | 内容 | 値上げの規模 |
|---|---|---|
| 食品全般 | 2,798品目が値上げ | 平均14% |
| 調味料・加工食品 | マヨネーズなどの卵加工品を含む | 値上げの中心 |
| 酒類・飲料 | 焼酎など幅広い分野 | 値上げの中心 |
| 電気代 | 補助金(最大月3,200円程度)が終了 | 大手電力10社で月442〜463円 |
| 都市ガス代 | 同じく補助金終了 | 大手4社で月148〜195円 |
| 国民年金保険料 | 月額17,920円に引き上げ | 前年度から月410円増 |
| 合計インパクト | 第一生命経済研究所の試算 | 4人家族で年約8.9万円(月約7,400円) |
この表で気づいてほしいのは、値上げの正体が「食費」だけではないということです。電気、ガス、年金保険料といった、努力では減らせない支出が同時に上がっている。だから「食費を切り詰める」だけでは追いつかないのです。
なお、ここに並べた数値は2026年4月4日時点で公表されていた情報に基づくものです。電気・ガス料金は燃料費調整などで毎月動きますし、料金プランも各社が随時見直しています。最新の金額は必ずご自身の検針票と各社の公表資料で確認してください。
円安160円時代がもたらす家計インパクト
2026年4月時点で、ドル円レートは158〜160円台で推移していました。3月末には一時1ドル=160円台半ばと、約1年8カ月ぶりの円安水準を記録しています。
円安が進むと、ガソリンや食料品など輸入に頼る商品の価格がさらに上昇します。海外旅行のコストも上がり、実質的な生活水準は下がっていると感じている方も多いのではないでしょうか。
ただし、株式市場にとっては円安が追い風になる側面もあります。株価は半導体セクターを中心に堅調な動きを見せています。
なぜ円は売られ続けるのか。私は以前から、日米の金利差、世界的な米ドル需要の高まり、そして為替介入の効果が長続きしないことの3点を挙げてきました。市場の基本的な経済条件に逆らう介入は、短期的に効いても長期では限定的です。詳しくは円安ドル高が止まらない?その原因と今後の展望について深掘りにまとめています。
この構造が変わらない限り、「円だけで持っている」という状態そのものがリスクになります。値上げとは、モノの値段が上がることであると同時に、あなたが持っている円の価値が下がることでもあるからです。
今日やること①|固定費の棚卸しを金額で並べる
ここからが実務です。値上げ対策で最初に手をつけるべきは、間違いなく固定費です。変動費(食費や娯楽費)を削るのはストレスがかかり、しかも続きません。固定費は一度見直せば毎月自動的に効き続けます。
私がこれまで見てきた中で、資産形成がうまくいく人は例外なく固定費を毎年棚卸ししています。投資の利回りを1〜2%上げるより、固定費を月1万円下げるほうがはるかに簡単で再現性が高いからです。
ステップ1|検針票と明細を1カ所に集める(所要30分)
電気の検針票、ガスの明細、スマホの請求書、光回線、保険料、サブスクリプション。まずは紙とアプリの明細を全部集めて、月額を1行ずつ書き出します。金額を並べるだけで、驚くほど「なんとなく払っているもの」が出てきます。
ステップ2|削減額の大きい順に手をつける(目安金額つき)
私が別記事にまとめた見直しの効果は、おおよそ次の通りです。
- 通信費:年3〜6万円。大手キャリアの主力プランは月7,000〜9,000円、格安SIMやサブブランドなら月1,000〜3,000円。1人あたり月8,000円を2,000円に下げれば年7.2万円、家族4人なら年28.8万円の差
- 電気代:年1〜3万円。契約プランと過去12カ月の使用量(kWh)を確認して比較する
- ガス代:年1〜2万円。プロパンガス契約なら月3,000〜5,000円下がるケースも珍しくない
- 保険・サブスク:内容を思い出せない契約は、その時点で見直し対象
手順の詳細は電気・ガス・通信費の見直しで年10万円浮かせる完全ガイド|固定費削減3ステップに書きました。今日は1項目でいいので、実際に申し込み画面まで進めてください。
ステップ3|住宅ローンという最大の固定費を点検する
そして、多くの家庭にとって最大の固定費は住宅ローンです。値上げの話題の陰に隠れがちですが、金利が動く局面ではここが一番大きく効きます。
借入3,500万円・35年・元利均等の試算では、金利が0.5%から1.5%に上がると毎月の返済は16,310円増え、35年では約685万円の差になります。すでに変動0.5%で5年返済した人でも、金利が1%上がれば毎月約13,948円、残り30年で約502万円の増加です。
「5年ルールがあるから大丈夫」と言われた方も多いと思いますが、あれは返済額を守るかわりに元本の減りを遅らせる仕組みで、125%ルールも超過分を先送りするだけで免除ではありません。詳しい表は変動金利が上がったら住宅ローンは毎月いくら増える?で確認してください。
今日やること②|削減の限界を認めて、収入の柱を増やす
固定費を丁寧に見直せば、年10万円前後は現実的に浮きます。ただ、ここで正直に書いておきます。削減には天井があります。年8.9万円の負担増に対して、削減だけで戦い続けるのはいずれ苦しくなります。
物価上昇と賃金上昇は本来セットであるべきですが、会社からの給料に期待できないなら、自らの力で収入を増やすしかありません。私は何年も前からスタグフレーション(景気が悪いのに物価が上がる状態)に警鐘を鳴らしてきましたが、早くから副業や資産形成を始めた人は、すでに一定の成果を出しています。この考え方はスタグフレーション対策は収入を増やすことに書いた通りです。
大事なのは時間を切り売りする副業ではなく、仕組みで回る収入をつくることです。初期構築に時間はかかるが、その後は少ない時間で運用できる。規模を広げられる。失敗時のリスクが限定的である。この3条件を満たすものを選んでください。
今日やること③|円だけで持たない形に資産を組み替える
3番目が資産の組み替えです。これは時間がかかるので、固定費と収入を整えてからで構いません。
私が以前から言っているのは、カネの価値が下がる局面では、資産性の高いモノの価値が相対的に上がるということです。日本国内の普通預金や定期預金に眠らせているだけのお金は、運用していない「死に金」として実質価値が下がっていきます。この考え方はカネの価値が下がるので資産性の高いモノに換えていこうにまとめています。
具体的には、次の3点が基本になります。
- 円安に強い資産を持つ:外貨建て資産、米国株、ゴールドなど、円安局面で価値が上がる資産をポートフォリオに組み込む
- 分散を徹底する:株式・債券・不動産・金など複数の資産に分け、特定の資産に偏らせない
- ポイント経済圏を使い切る:楽天ポイントせどりやマイル活動など、「お金を使う」行為そのものを最適化する
投資の成果は市場環境によって変わり、元本が保証されるものではありません。ここに挙げたものも同じです。税金の扱いについては、必ず税理士や税務署に確認してください。
私が実際にやったこと
私自身が実際にやったことも書いておきます。
まず、FX半自動売買の設定を見直しました。円安トレンドが継続する中で、ドル円のロングポジション比率を調整しています。
次に、楽天マラソンのタイミングを活用して日用品のまとめ買いを実施。ポイント還元率を最大化しながら、値上げ前の価格で必要なものを確保しました。
そして、電力会社のプラン比較を行い、より割安なプランに切り替えました。
これらは特別なことではありません。「知っているかどうか」で差がつく、小さな積み重ねです。逆に言えば、知らないまま放置している分だけ、毎月確実に損をしているということでもあります。
注意点|値上げ局面ほど「助け舟」を装った話が増える
ここは番人として、どうしても書いておきたいところです。
家計が苦しくなる時期は、儲け話が最も刺さる時期でもあります。「インフレで現金は目減りします」「今のうちに増やさないと手遅れです」という言葉は、それ自体は間違っていません。だからこそ、危ない話の入口としても使われます。
値上げに便乗した勧誘で、私が警戒する型
・「インフレ対策」という言葉だけで、中身の説明がない
・元本保証や高い利回りを口頭で約束してくる
・急かす。今月中、今日中、枠が埋まる、と期限を切ってくる
・紹介者が仕組みを説明できず、「みんなやっている」しか言わない
私は過去に数千万円を騙されました。振り返れば、この4つのうち複数が最初から出ていました。焦っているときほど、目に入らなくなるだけです。
固定費の見直しは地味です。格安SIMへの乗り換えも、電力プランの比較も、誰も褒めてくれません。それでも、こちらは確実に効きます。派手な話に手を出す前に、確実なほうから片づけてください。
まとめ|「知っている」だけで差がつく時代
トランプ関税から1年、最高裁の違憲判決、26兆円の還付問題、そして食品2,798品目の値上げと補助金の終了。
ニュースを「点」ではなく「線」で捉えると、私たちの生活にどう影響するかが見えてきます。
やることの順番をもう一度だけ書いておきます。
- 今日:明細を集めて固定費を1行ずつ書き出す。通信費から手をつける
- 今週:住宅ローンの契約書を出して、金利のルールを確認する
- 今月:収入の柱を1本増やす準備を始める
- その先:円だけで持たない形に、時間をかけて資産を組み替える
大切なのは、こうした情報を知った上で、自分なりのアクションを起こすことです。私が12年目になる投資副業サロン「コアメンバー」でも、こうした経済の動きを踏まえた考え方を共有しています。
※本記事の内容は投資助言ではありません。投資は自己責任で行ってください。記事中の数値やデータは2026年4月4日時点の情報に基づいており、最新の料金・制度は各社および公的機関の公表資料でご確認ください。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







