資産を分散させたい、外貨で運用したい、海外送金をもっとスムーズにしたい…
そんな理由から「海外口座」を検討する日本人がたくさんいます。
その中でも特に保有者が多いのが、HSBC香港(香港上海銀行)です。
しかし、よく知らないまま「安心そう」「みんな持ってる」
と思って口座を作ると、後々トラブルになることも。
今回は、HSBC香港の信用力・歴史・安全性・メリット・リスクまで、
徹底的に深掘りして解説します。
比較対象として、日本の三菱UFJ銀行(MUFG)との違いも明確にしています。
この記事を読めば、
HSBC香港口座を持つ意味とリスクがしっかり理解できるはずです。
HSBC香港(香港上海銀行)とは?
HSBC香港は、1865年にイギリス統治下の香港で設立された銀行で、
「香港上海銀行(Hongkong and Shanghai Banking Corporation)」の略称です。
現在はグローバル金融グループHSBCの一部であり、
その中でも香港は最重要拠点です。
本社はロンドンにありますが、
グループ全体の利益のうち約3割は香港から生まれているほど。
つまり、「香港に根を張る、国際的で巨大な銀行」というイメージが近いです。
HSBC香港の信用力と経営の安定性
HSBCは、世界で最も信用格付けの高い銀行のひとつ。
以下は主要格付け機関の評価です(2024年時点)
- S&P:AA−(安定的)
- Moody’s:Aa3(見通しネガティブ)
- Fitch:AA−(安定的)
日本の三菱UFJ銀行(MUFG)の格付けがA〜A1程度なので、
HSBCの方がワンランク上です。
また、総資産は約3兆ドル(世界7〜8位)と、
日本の三菱UFJと並ぶ世界トップクラス。
潰れるリスクは極めて低く、
いわゆる「潰せない銀行(G-SIBs)」にも指定されています。
香港における圧倒的な存在感
HSBCは香港で最も大きな銀行であり、香港ドルの紙幣発行権も持っています。
預金シェアは約33%で圧倒的。
つまり、香港人からの信頼も絶大です。
現地には多数の支店やATM網があり、個人・法人ともに広く利用されています。
HSBCプレミアなど富裕層向けサービスも充実し、
アジア地域の金融のハブ的存在と言えるでしょう。
中国政府との関係性と政治リスク
気になるのは「中国政府との関係」
特に2020年以降、香港の国家安全維持法によって
政治的リスクが高まったことは事実です。
HSBCは、当初中立を保っていたものの、
後に国家安全法を支持する声明を出したことが国際的に物議を醸しました。
ただし、グループ本社は英国にあり、
HSBC香港も法的には中国の国有銀行ではありません。
とはいえ、中国系大手企業「平安保険」がHSBCの筆頭株主であるなど、
中国との経済的なつながりは非常に強いため、
完全な独立性が保たれているとは言い切れません。
預金の安全性と保護制度
預金者として気になるのは「万が一潰れたらどうなるのか?」という点。
香港には預金保護制度(DPS)があり、以下のような仕組みです。
- 80万HKD(約1,300万円)までの預金は保護対象
- 通貨は香港ドル・米ドル・円など問わず対象
- 利息分も含めて保護される
ちなみに、日本では円建ての普通預金しか1,000万円まで保護されません。
外貨預金は保護対象外です。
つまり、外貨を安全に保管するという意味では
HSBC香港の方が優れている側面もあると言えます。
三菱UFJ銀行(MUFG)との比較
項目 | HSBC香港 | 三菱UFJ銀行 |
---|---|---|
創業 | 1865年(香港) | 1870年(前身:三菱銀行) |
本社 | ロンドン(香港拠点) | 東京 |
信用格付け | AA−(S&P) | A(S&P) |
預金保護 | 80万HKDまで(通貨問わず) | 1,000万円まで(円預金のみ) |
国際展開 | 世界60か国以上 | 海外展開は限定的 |
外貨対応 | マルチカレンシー対応 | 限定的(外貨預金は保護外) |
リスク | 政治リスク(香港・中国)あり | 国内中心でリスクは低い |
MUFGは国内利用には非常に安心ですが、海外送金・資産分散には向きません。
一方、HSBC香港は国際性に優れるものの、
政治的な不安定さや英語の壁が課題です。
HSBC香港口座を持つメリット
1. 国際通貨での資産分散
HSBCでは香港ドル、米ドル、人民元、円など複数通貨を1つの口座で管理できます。
円資産だけに偏るリスクを避ける「通貨分散」が可能になります。
2. 海外送金や投資のハブ口座に
海外送金がスムーズで手数料も割安。
例えば海外留学、輸出入ビジネス、暗号通貨や海外投資をしている人にとっては、
便利な資金の通り道になります。
3. 金利が高い局面もある
香港は米ドルに連動した金利制度を採用しており、日本の超低金利とは対照的。
タイミングによっては日本より有利な金利で運用できる可能性があります。
4. 投資商品の選択肢が広い
香港はアジア有数の金融センター。
日本では買えないようなファンドや外貨建て保険、
ETFなど多様な投資商品にアクセス可能です。
口座開設時の注意点・デメリット
1. 現地での対面手続きが必要
非居住者が口座を開くには、香港での本人確認が必要です。
ビザなし短期滞在でも可能ですが、近年はマネロン規制が厳しくなっており、
開設ハードルは高めです。
*コアメンバーでは確実に口座開設ができるサポート体制があります
2. 英語でのやり取りが基本
オンラインバンキングやカスタマーサポートは基本的に英語または中国語のみ。
日本語のサポートは基本的に期待できないため、
言語に自信がない方にはハードルがあります。
3. 日本の税務申告が必要
日本の居住者は、
海外に口座を持っているだけで税務署への申告義務が生じる場合があります。
特に国外財産調書(5,000万円以上)や、
利子・配当の所得申告を忘れるとトラブルの元です。
日本人にとっての活用法とおすすめタイプ
- 外貨資産を分散して持ちたい人
- 香港やアジアに投資・送金ニーズがある人
- 将来的に海外移住や留学を考えている人
- 日本の銀行だけに依存したくない人
こうした人には、HSBC香港口座は強力な武器になります。
結論:資産分散と国際取引を考えるなら検討の価値あり
HSBC香港の口座は、ただの「おしゃれな海外口座」ではなく、
資産保全・外貨運用・国際送金という3つの視点で非常に有用です。
ただし、政治リスク・開設のハードル・言語・維持コストといった
明確なデメリットも存在するため、
「使いこなす意思」がある人に向いているサービスと言えるでしょう。
とはいえ、日本の金融環境が長期的に低成長・低金利である以上、
今後ますます海外口座を活用する人は増えていくと予想されます。
資産を守る、増やす、逃がす選択肢として、
HSBC香港口座は十分に検討に値する存在です。
ご不明な点があれば、遠慮なくお問い合わせください。