「投資詐欺に遭ってしまった。このお金は取り戻せるのだろうか」
そう思ってこの記事にたどり着いた方に、最初に本当のことをお伝えします。
投資詐欺に遭った資金の回収は、基本的に困難です。自分以外にもたくさんの人が同じ案件で被害に遭っていますし、誠意のある詐欺師など存在しません。案件が破綻したら首謀者は逃げ、紹介者は被害者ヅラをして責任から逃れます。だから日本では、騙されたら泣き寝入りする被害者がほとんどです。
それでも、条件が揃っていて、やり方さえ間違えなければ、取り戻せるケースはあります。私は過去に数千万円を騙され、それでも独自のやり方で7割ほどを回収しました。私が20代前半のころに債権回収の仕事をしていたからです。相手が嫌がるポイントと、回収しやすい状況の見分け方を、人より少しだけ知っています。
この記事では、投資詐欺でお金を取り戻すために何をすべきか、逆に何をしてはいけないかを、私自身の被害と回収の実話をもとに整理します。過去に別々の記事で書いてきた内容を1本にまとめ直したものです。
結論。回収できるかどうかは「案件が生きているうちに動いたか」でほぼ決まる
細かい話に入る前に、この記事でいちばんお伝えしたい結論を書いておきます。
それは、案件が破綻する前に、首謀者や紹介者に対して返金を迫ることです。
詐欺案件に破綻の兆候が現れると、毎月約束していた配当が遅れ始めたり、首謀者や紹介者のレスポンスが極端に遅くなります。ここが分かれ道です。この段階で投資家の一部が騒ぎ始め、ネットやSNSでも話題に上がり始めると、資金の回収は一気に難しくなります。
やるなら、まだ案件が生きているうちです。新規の投資資金が集まっている間は、首謀者の手元にまだ返済できる資金があります。回収するとしたら、その資金からしかありません。
配当が入っているから、首謀者と連絡がつくから、と呑気に構えないことです。私募投資案件(金融機関を通さず、個人や少人数の間だけで出資を募る案件)は最初から破綻ありきのものが多いので、案件が生きているうちに動かなければ全損します。
もし今、配当の遅れやレスポンスの悪化を感じているなら
それは「まだ間に合う最後のサイン」であると同時に、あと数週間で回収不能になるサインでもあります。破綻が確定してから動き出した人は、私の知る限りほとんど1円も取り戻せていません。
私自身が数千万円を騙され、どこまで取り戻せたか
私はプロフィールでも公開している通り、過去に投資詐欺で2,000万円の被害に遭いました。友人やお客様に渡っていた資金まで全て合わせると、総額8,000万円になります。
騙された案件は1つではありません。4件から5件の詐欺案件被害に遭っています。多くは海外系の私募投資案件や事業案件でした。東南アジアの農園事業、金鉱山案件、私募不動産ファンド、私募FXもありました。しかもそれらがほぼ同時期に破綻したので、投資資金数千万円を一気に溶かしてしまったわけです。
自分の分は自己責任で割り切るしかありません。ですがお客様の分は何とか回収しないといけない。その思いで、それこそ「包丁片手に地獄まで追いかける覚悟」で首謀者に猛烈なアクションを起こしました。
回収できた分と、できなかった分
結果として、私が回収できたのは被害額の全部ではありません。ただ、案件ごとに見ると次のような結果になりました。
- ある案件では、少なくとも1,500万円以上を失うところだったが、半分以上の1,000万円を回収できた
- 数千万円の被害全体で見ると、独自の債権回収ノウハウを使って約70%を回収した
- 数年前に被害に遭ったA案件では、500人以上いた全国の被害者の中で、被害金を全額回収できたのは私1人だけだった
- B というFX案件では、3万人とも言われた全国の被害者の中で、私と私のお客様13名分を全額返済させた。その後その案件は完全に倒産して回収不能になった
全額回収できなかった案件もあります。それでも、同じ案件に投資して1円も回収できなかった人が大半という状況の中では、よくやった方だと自負しています。
1円も回収できなかった人たちに共通していたのは、紹介者の言うことを最後まで信じて待っていたことです。私は被害が明るみに出た直後から単独で動き、「自分の分だけを回収する」という一点に絞りました。この差です。
被害に気づいたら、まずこの順番で動く
投資詐欺に遭ったと分かったら、即座に行動に移してください。
1. 自分が投資した分の回収だけを考える
「友達の分や知人の分も合わせて回収しないと」「弁護士や警察に相談してから」など、悠長なことを言っている場合ではありません。被害者が多数いる中で、全員にまんべんなくお金が返ってくるはずがないからです。まずは自分の分を確保する。冷たく聞こえるかもしれませんが、これが現実です。
2. 証拠を、とにかく数多く集める
証拠書類とデータはくまなく集めてください。過去のメール履歴、通話履歴、会話の音声ファイルがあれば完璧です。お金を投資した際の契約書や振込伝票も、なるべく多い方がいいと思います。後から集めようとしても、相手が消えた後では手に入りません。
3. 首謀者の情報が分かるなら、そこから攻める
詐欺師は案件が破綻した後でも、いくらかの資金をどこかに隠しています。詐欺師の本名や現住所、家族の所在などが分かっている場合は、そこから攻めることをお勧めします。
4. 首謀者が分からなければ、紹介者を攻める
首謀者の情報が全く分からない場合は、その詐欺案件をあなたに紹介してきた人物に向かってください。紹介者はほぼ100%の確率で「自分も詐欺案件とは知らなかった。自分も被害者だ」と言うはずです。それでも動きを止めないでください。理由は次の章で説明します。
紹介者は「被害者」ではなく加害者だと考える
案件の破綻が確定すると、被害者が一斉に騒ぎ始めます。すると、詐欺運営者と被害者の間に立って案件を紹介していた人物が、こういう話を持ち出してきます。
「皆さん落ち着いて行動しましょう。私も皆さんより多くの資金を投資した被害者です。今後弁護士に依頼し、被害者の会を結成して債権回収を進めますので、進捗があるまでしばらくお待ちください」
この言葉を信用してはいけません。私の過去の経験から言わせてもらうと、被害者の会を結成したところで被害金を回収することはほぼ無理です。弁護士を雇って被害者の会を作ったとしても、詐欺運営側と紹介者に「逃げる時間」を与えているだけで、何の効果もありません。
そもそも紹介者と呼ばれる人間は、あなたが詐欺案件に投資したことでいくらかの紹介手数料を得ています。つまり被害者ではなく加害者です。
そして経験上、紹介者は皆さんより多くの資金を投資していません。「私もかなりのお金を投資しており被害者なのです」というのは被害者をなだめるための常套句です。仮に多少投資していたとしても、紹介手数料で大半を回収していますから、明らかにあなたの被害の方が大きい。
加えて、運営側も紹介者も人間です。独自の判断で特定の人間にだけは全額返済しておくということは、正直よくあります。だから紹介者の話を鵜呑みにせず、紹介者に対して被害弁済の請求をおこなうべきなのです。
この点は被害者ヅラして投資詐欺の責任を取ろうとしない紹介者を許すなという記事でも詳しく書いていますので、紹介者の態度に納得がいかない方は併せて読んでみてください。
紹介者に請求できる根拠はどこにあるか
「知らなかったと言っている相手に請求していいのか」と迷う方も多いと思います。
ここは慎重に書きますが、必要な金融免許も持たずに投資案件を勧誘し、出資させた行為は、出資法違反、金融商品取引法違反、詐欺罪に該当するケースがあります。「必ず該当する」ではありません。個別の案件で本当に該当するかどうかは、証拠を持って弁護士に確認してください。
実例もあります。有名な投資詐欺事件である「スピーシーアービトラージ事件」でも、多くの紹介者が被害者から訴えられ、損害金を一部取り戻した事例がありました。紹介者は「自分は無関係」という顔をしますが、法律の世界ではそう単純ではないということです。
回収には「最低条件」があり、揃っていなければ取り戻せない
ここまで読んで「自分もやってみよう」と思われた方に、正直なことをお伝えします。
詐欺被害金を回収するには、いくつかの条件を全て満たしている必要があります。私が押さえている回収のポイントには、最低条件が3つあります。条件を一つでも満たしていない場合、私のやり方を使ったとしても回収はできません。
さらに言えば、3つの条件が全て揃っていたのに回収できなかった事例ももちろんあります。私自身、全ての案件で回収できたわけではありません。
ですから「ダメでもともと、やるだけのことはやりたい」という気持ちで回収作業に臨むことをお勧めしています。過度な期待をして動くと、うまくいかなかったときに二度目のダメージを受けることになります。
回収を謳う「二次被害」に注意してください
被害が明るみに出た案件では、債権の買取り提案が持ち込まれることがあります。私はこれに乗ることをお勧めしていません。被害に遭った直後は判断力が落ちますので、新たに条件の良い話が向こうから来たときこそ、いったん止まってください。
当時と現在。詐欺の「入れ物」は変わっても中身は同じ
私がこれらの記事を最初に書いた当時は、カジノジャンケット詐欺案件がほぼ全部破綻した時期で、続いて仮想通貨案件が一世を風靡していました。当時から「大半は詐欺だろう」と書いてきましたが、実際に一攫千金や安定したインカムゲイン(保有しているだけで入ってくる収入)という言葉に釣られ、数万円から数百万円を投じた人が大勢いました。
現在は、入れ物の名前が変わっただけです。仮想通貨、海外不動産、事業投資、AI関連。呼び名は毎年変わりますが、中身は同じです。友人や知人が「1口10万円から100万円で儲かる投資案件があるよ」と持ってくるものは、99.9%が詐欺だと思って間違いありません。
カジノジャンケット案件についてはカジノジャンケットやコインリース詐欺被害者は完全な自己責任で当時の状況を書いています。案件名が違っても、被害者が同じ行動を取って同じ結果になっていることが分かるはずです。
私が回収のアドバイスをコアメンバーに限っている理由
ここは誤解のないよう、はっきり書いておきます。
オフショア積立商品の解約処理や被害相談については、ブログ読者の方からのご相談でも、解決までの道筋を一緒に探ってきました。ですが、投資詐欺からの資金回収に関するアドバイスは、コアメンバーにしか行っていません。
この記事を読んで「私も被害を受けている。回収できるならやってみたい」と思われても、メンバーでなければ個別のアドバイスはできません。どうかご了承ください。
理由は2つあります。1つは、このやり方が独自のもので、あまり外に出したくないからです。手口が広く知られれば、詐欺師側が先回りして対策を打ちます。もう1つは、これが私本来の仕事ではないからです。高額の成功報酬を提示されたこともありますが、精神的にも疲れる作業なので、コアメンバー以外からの依頼は全てお断りしています。
実際にコアメンバーの中には、私の回収の考え方を実践して被害金を全額回収された方も、一部を回収された方もいます。直近では、条件が揃っていたコアメンバーに債権回収のポイントをお伝えし、その通り実践してもらったところ、数か月で多額の投資金を取り返すことができました。
取り戻せても、取り戻せなくても、次に持ち越すべき教訓
もし回収できたら、「今回はたまたま運が良かっただけ」と考えてください。そして二度と私募案件にお金を投資しないことです。
回収できなかった場合も同じです。どれだけ催促してもお金が戻ってこないと分かったら、猛省して「人が持ってくる投資案件」には二度とお金を入れないと決めてください。
投資詐欺に遭うと、お金だけでなく信用も失います。回収には一定の労力とリスクが伴い、ストレスも溜まって本当にしんどい。きちんとした海外金融商品や保険商品、不動産投資で長い時間をかけて数百万円の利益を得たとしても、私募案件ひとつでそれを一瞬で吹き飛ばすことになります。これでは何をやっているのか分かりません。
私も経験があるので、一度騙されるのは同情できます。一度だけなら投資家の勲章のようなものだとすら思っています。ですが二度目はいけません。同じ手口に何度も引っかかる方を、私は現場で何人も見てきました。何度も似たような詐欺案件に騙される被害者が多いという記事に、そのパターンをまとめています。
そして、被害を受け入れて前に進む段階の話は詐欺案件に騙されたという現実を早く受け止めて猛省し次に進んだ方がいいに書きました。回収に全力を尽くしたら、どこかで区切りをつけることも必要です。
次にお金を動かす前には、詐欺案件かどうかを見分ける基本的なマインドセットも確認しておいてください。取り戻す技術よりも、入り口で断る判断の方がはるかに価値があります。
まとめ。黙っていても、信じて待っていても解決しない
最後に、この記事の要点を整理します。
- 投資詐欺の資金回収は基本的に困難。ただし条件が揃えば可能なケースはある
- 回収できるかどうかは「案件が破綻する前に動いたか」でほぼ決まる
- 配当の遅れと、首謀者や紹介者のレスポンスの悪化が最後のサイン
- まず自分の分の回収だけを考え、証拠を全て集める
- 首謀者の情報があればそこから、なければ紹介者に被害弁済を請求する
- 紹介者は被害者ではなく加害者。被害者の会に期待しない
- 無免許での勧誘が法律に触れるケースがあるので、証拠を持って弁護士に確認する
- 回収には最低条件が3つあり、揃っていなければ取り戻せない
- 取り戻せても取り戻せなくても、私募案件には二度と入れない
私が被害に遭ったときに何度も自分に言い聞かせた言葉を、そのままお伝えします。
黙っていても解決しないし、信じて待っていても解決しません。行動あるのみです。
今後一人でも多くの方が詐欺被害に遭わないことを願っています。
※本記事は私自身の経験と、これまで見てきた事例をもとにした一般論です。個別の案件で法的手段を取る場合は、必ず弁護士にご相談ください。
副業・投資の判断に迷ったら
私は数千万円を騙された経験と、大阪府知事認可の不動産会社を20年経営してきた立場から、副業と投資の「本物と偽物」を見極める物差しをお伝えしています。
※販売・勧誘・譲渡のお取次は一切行っていません。







